毎年中国の独身の日である11月11日に開催されている中国最大のショッピングイベントである「W11」が、今年も大盛況のうちに終了しました。
今年2020年の総売り上げは、

昨年比26%増の4,982憶元(約7.8兆円)、全世界で購買をした人が8億人、トータルの物流数は23.21億個

という結果になっています。

これだけの数字を並べられると大きすぎていまいちピンとこないと思いますが、Amazonの日本における2019年の売上は約1兆7,425億円です。「Amazonの日本における年間の売上高の約4,5倍を一日で売り上げた」という計算になります。

2020年天猫双11
引用元:“双循环”释放内需潜能,新供给激活天猫双11每日经济网

「どうでしょう?スケールの大きさが伝わったでしょうか?」 その中で日本企業に注目をしてみると、中国から見た海外ブランドにおける売上TOP5には、ドイツやオーストラリアなどのブランドがひしめく中、美容健康機器メーカーのヤーマンをはじめ、資生堂、花王が入り、存在感を示しています。日本ブランドの人気は、相変わらず安定しているようです。

さて、今回は今年見られたW11の特徴を3つほどご紹介します。

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2020年のW11の3つのニュース

引用元:双十一结束,淘宝直播,再向前走 1 公里 ZAKER新闻

2020年のW11でインパクトを残した3つのニュースをお伝えします。これらは日本のビジネスでも参考になるかと思います。

ライブコマース

まず一つ目は、ライブコマースです。
2019年までも利用されていたライブコマースが、2020年はより一層勢いづいていました。
今回のW11期間中において、

  • 企業が実施したライブ:10万回以上
  • ライブを実施するKOLの日別人数:1日6万人以上
  • 1億元(約15.5憶円)を売り上げたライブ:30件以上

と、どれも過去最高を記録しています。

また、トップライバーと呼ばれるKOL(中国のインフルエンサー)の売上が高かったのも特徴です。

中国版Twitterと言われている微博(ウェイボー)に、2,189万人のフォロワーを持つ「李佳琪 Austin」という男性KOLがいます。彼は38.7憶元(約600憶円)売上ました。
1,481万人のフォロワーを持つ「薇娅 viyaaa」女性KOLは、なんと53.2憶元(約825億円)を売り上げました。日本では考えられない数字ですよね……。

テレビ番組×ライブコマース

环球网的展示页_环球网
引用元:环球网的展示页 环球网

続いて2つ目は「テレビ番組×ライブコマース」の取り組みです。
この取り組みも新たな形として成功をしたと言っていいでしょう。
天猫(テンマオ)は中国大手テレビ局である湖南TVと組み売れすぐりの有名KOL5名を起用し、17ヵ所のライブ会場からライブ放送を実施しました。約2億人を超えるライブ視聴者数を達成して大成功に終わりました。

この「テレビ番組×ライブコマース」という座組は、来年以降も進化していくでしょう。日本でも「ライブコマース」がようやく形になり始めていますが、天猫(テンマオ)のこういった施策は今後のビジネスを考える上で大きなヒントになります。

返品問題

最後の3つ目は、今年大きな問題となった返品問題です。
毎年W11では、「異なるお店でも会計時に一定金額以上になると割引になる」という仕組みがあります。
一旦割引が適用された商品は、その後キャンセルしても残った商品にも割引が適用されてしまうのです。

このカラクリを利用して、割引を狙って一定金額に達するために、「本来不要なものを一旦購入し、日付が変わって11月12日なった瞬間にキャンセルする」という事例が相次ぎました。

この割引分は一部店舗が負担しなければいけないため、店舗からすると大ダメージとなります。
ただでさえW11は割引で販売をしているため利益幅が小さいのに、それに加えてキャンセルフィーまで払わなければいけないとなると、お店にとっては踏んだり蹴ったりですよね。

中国ではこのように「ルールの隙をつくような行動を取る人たちが多く出現し、そういった人たちに対応するルールができる」というイタチごっごはよくある話です。
来年以降、天猫がどのようなルールを作って対策を打つのか、楽しみにしておきましょう。

まとめ

最後に、いかにも中国らしいな、というライブ配信をご紹介します。こちらの画像は、倉庫の中の様子を紹介したライブ配信の画像です。これは、W11に向けて稼働をする倉庫のライブ配信で、「無人で稼働をする倉庫の映像をひたすら流す」というものです。このライブ配信は最終的に33万9,000人もの人に見られていました。ただ無機質に動く機械を見るだけで33万9,000人集まるなんて驚きですよね。

「あなたは見たいと思いますか??」

youtube動画でも解説

今回のコラムは、youtubeでアニメーション動画でもご覧頂けます。5分程度ですので、通勤の行きかえりなどでもお楽しみ頂けます。併せてぜひご確認ください!


この記事を書いた人

瀧澤 慧(Takizawa-Satoshi)

瀧澤 慧(Takizawa Satoshi)

一貫して営業畑を歩み、前職の広告代理店でインバウンド事業部を立ち上げ目標売上300%を達成し、その実績を買われ2016年にENJOY JAPANに参画。クライアントはドラッグストアとメーカーが多く、徹底してクライアントの売上向上に尽力してきた結果、一度担当したクライアントは必ずと言っていいほどリピートしていく。

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