JALやANAが2023年3月末から中国本土路線を大幅に増便することが決定し、中国からの訪日観光客が回復する気運が高まっています。この5月には一定程度の受け入れが開始され、今年の夏には本格的な受け入れが始まる見込みです。各社のインバウンド担当者も準備に忙しいことでしょう。
コロナ前は、夏休みの時期が中国人の訪日者数が最も多い時期でした。日本の報道では国慶節や春節が注目されますが、実際にはもっとも盛り上がる時期というのは7月、8月となります。インバウンドを攻略する上では、この時期が重要です。「インバウンドを制するものは夏を制する」ということを覚えておきましょう。
今回は、夏休み時期に向けて、中国向けのプロモーションを検討されている企業様に向けて、当社の『ミーエル』を活用したインフルエンサー分析で注目すべき影響力のあるインフルエンサーの特徴と実際におすすめしたいKOLを紹介します。
「今」中国で話題の影響力のあるKOL(インフルエンサー)の特徴
日本ではあまり耳にしないかもしれませんが、2023年3月現在、中国で影響力のあるインフルエンサーを紹介したいと思います。
企業の担当者としては、売上に影響を与えるKOLは必然的に影響力のあるKOLになります。私が考える商品販売に影響を及ぼすKOLの特徴は、下記の2つを備えているかがポイントだと考えています。
- 実用性と説明力を兼ね備えている
- 憧れられる存在
1.実用性と説明力を兼ね備えている
商品を理解して、その特徴を紹介することに長けていることは当然ながら、投稿する内容に実用性があり、その投稿を見たユーザが「真似てみたい」「参考になった」と思わせることができる投稿になっているのかがポイントになると考えております。
2.憧れられる存在
KOL(インフルエンサー)自身が憧れとなり、KOLと同じ商品を身につけたいと思わせます。モデル出身者が多く、もともと女性から憧れる職業として知られているため、その延長線上で雑誌のモデルのような投稿が多い傾向があるのが特徴です。
【補足】 中国では、憧れの対象に「同款」という言葉が使われる
この『憧れ』という視点についてですが、もう何となく想像できると思いますが、中国人消費者の憧れになることで、○○さんみたいになりたいと思わせることができます。そして、○○○と同じ商品を使えば、私も憧れの○○に近づけることができると考えるでしょう。日本でも同様ですね。
中国では、憧れの対象として、「同款」という言葉が使われます。これは、「〇〇〇さんが身につけているものと同じもの」という意味です。
上記2つのポイントを捉えたKOLのご紹介
では、早速その2つのポイントを捉えたKOL(インフルエンサー)をご紹介していきたいと思います。
上記の画像は、ENJOY JAPANのマーケティングシステム「ミーエルVer.2」で表示された小紅書のKOL(インフルエンサー)フォロワー数ランキングの画面です。
程十安an
まずご紹介したいKOLは、「程十安an」というKOLです。彼女はランキングでも常にトップ10入りしており、私もよく彼女の投稿を参考にしています。
程十安anのKOLとしての特徴と分析
彼女の魅力は、実用性と説明力を兼ね備えていることです。商品の特性を理解して説明する投稿が非常に優れており、その説明に使用する文字や色の使い方にも工夫が感じられます。多くの参考になる投稿を発信しているため、私も迷った時は彼女の投稿を見て勉強しています。
そして、彼女はタオバオ内にセレクトショップも設けています。 彼女が選んだ商品は、中国の消費者はとても興味を持ちます。彼女は商品の特長をうまく伝えるスキルに加えて、実用的な商品を紹介することにも力を入れています。
つまり、高価な商品や誰もが憧れる商品ではなく、消費者に手の届きやすい価格帯であり、よく使う商品などを紹介しているため、彼女の投稿が人気になり、注目を浴びているのだと思います。
その証拠に、彼女の名前でキーワード検索すると、関連キーワードとして「つけまつげ」「ファンデーションの塗り方」「初心者メイク」「おすすめのシャンプー」というキーワードが出てきます。
実際、彼女の投稿に興味を示している消費者は、実用的な情報を求めていると言えるでしょう。
下記の投稿は実際にREDに投稿されている写真です。女性の髪型の作り方など、女性が気になる情報を投稿しています。このような実用的な情報を投稿していることが、彼女が人気を集めている理由だと分析します。
また、先ほど紹介したように、彼女のセレクトショップでおすすめする商品が、中国人消費者にとって魅力的なのも、理解できますね。その結果、その店舗に対する評価も高まっているようです。
易夢玲
『易夢玲』さんは、中国のKOL(インフルエンサー)の中でも注目されており、たくさんの方が憧れ(=同款)を持つ存在です。日本の企業は、ぜひ彼女をインフルエンサーとして起用すること検討してみてください。彼女を起用することで、知名度のない商品でも中国の消費者にアピールすることができ、効果的だと考えられます。
こんな風に……。 まさに、モデルさんですよね。 これは、彼女のようになりたいという戦略をうまく活用して商品の紹介につなげていると思います。
易夢玲のKOLとしての特徴と分析
話を戻しますが、同款というキーワードには、表面的にわかりやすい商品(写真や動画で伝わりやすい商品の投稿)が相性が良いと思われます。
その結果、彼女の名前をキーワード検索すると、「メイク」「髪色」「カラコン」「チーク」「ファッション」といったワードが関連キーワードとして表示されます。
実際の彼女に関連するキーワードの同款で見ていきますと、 このような投稿がヒットしました。
憧れの人と同じものを持ちたいというのは、KOL(易夢玲さん)自身の魅力があってのことだと思いますが、同時に易夢玲さんが中国人消費者への分析力が高いことも大きな要因だと思われます。
様々な角度から、中国の消費者がどのような投稿に目を惹かれるか、またどのような投稿が「可愛い!」と思わせるかを試みた結果ではないでしょうか。
彼女自身のブランディング力は、まさに分析力の高さを象徴していると思われます。中国の女性消費者は、欧米系と東南アジア系のメイクが好まれます。例えば、真っ赤な口紅などがあります。一方、日本のメイクは少し異なりナチュラルなメイクが好まれます。しかし、彼女は日本のメイクに近い、ナチュラル感のあるメイクが得意で、彼女のもつ独特な雰囲気を上手にREDで表現できています。そういったことから、他のインフルエンサーとは異なるカテゴリーを形成し、彼女のオリジナルのポジションを構築できたのではないでしょうか。中国の消費者からは、「純粋な欲望の女神・フェロモン感の女性(※中国語の直訳)と言えば、易夢玲」と考えられるような存在になりました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、ミーエルのフォロワー数ランキング&エンゲージメントが高いKOL(インフルエンサー)から、私が気になるKOL(インフルエンサー)を解説しました。今後も、中国市場における注目の情報を皆さんにお伝えできればと思います。
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この記事を書いた人
日中のハーフで、13歳まで上海で育つ。新卒で日系企業に入社し、上海支社で勤務。日本に帰国するタイミングでENJOY JAPANに入社。中国の美容系情報に強く、常に流行と最新の情報をベースとした提案を 得意とする。彼女が運用するnoteアカウントも大好評運用中。 Noteアカウント:中国トレンド研究所@橋本