本日のテーマは「インバウンドに関する国土交通省の方針」についてです。私たちENJOYJAPANは、国土交通省と定期的に情報交換を行っており、日本の訪日インバウンドに対する方向性を伺っています。今回は2024年7月に国土交通省の方とお話した際の、既に公開されている情報を中心にお伝えしたいと思います。
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訪日外国人旅行者数の目標
まず1つ目は、訪日外国人旅行者数の目標についてです。
2023年の訪日客数は2,506万人で、コロナ禍前の2019年と比べて年間ベースで79%、約80%まで回復しました。
2024年1~6月の期間を見てみると、6か月間の累計で約1,700万人となり、これまで最高だった2019年の6か月累計を100万人以上上回り、過去最高を記録しています。このペースで進めば、2024年は年間でも過去最高を上回ると確実視されています。
また、2024年1月に行われた前観光庁長官の会見でも、2030年に年間訪日客数6,000万人を目指すことが明確に示されており、政府としてもこの目標に向けた取り組みを進めています。
地方への分散
続いて2つ目は、地方への分散についてです。
都市部への観光客集中が問題視され、オーバーツーリズムが叫ばれていますが、国としても地方分散に力を入れていく方針です。
ただし、地方空港に国際線直行便を増やすのではなく、成田空港を窓口としつつ、そこから各地方の空港へ分散させていく流れになるようです。
実際、成田空港では2029年の完成を目指して新しい滑走路の建設が進められています。これが完成すれば、年間の発着回数は30万回から50万回に増える見込みです。2030年の6,000万人達成に向け、政府の本気度が伺えます。
ラグジュアリーホテル・クルーズ船の誘致
さらに、地方分散の一環として、政府はラグジュアリーホテルの誘致にも注力しています。まず、消費額の大きい富裕層に「このホテルに行きたい」と思わせるようなホテルの誘致を進めています。例えば、鳥取にはラグジュアリーコレクションホテル、瀬戸内エリアにはマンダリンオリエンタルホテルの建設が計画されています。こうしたラグジュアリーホテルの建設を進めることで、次に富裕層がどこに訪れるかが見えてくるかもしれません。
また、ホテルだけでなく、豪華クルーズ船の準備も進んでいるそうです。クルーズ船であれば、土地を必要としないため、プロジェクトを進めやすいのかもしれません。
免税制度の見直し
3つ目は、国土交通省の管轄外ですが、免税制度についてです。
ここ最近、大手ドラッグストアや百貨店に対する国税庁の追徴課税がニュースになっています。この免税制度は、店頭で手続きをすると消費税を支払わずに済む仕組みですが、国内流通を目的とした不正な免税購入者への対策が難しくなってきています。こうした状況を受け、税を徴収する財務省からも制度見直しの声が高まっています。
そこで国は、現行の免税制度を「空港還付型」に切り替える動きを本格化させようとしています。
空港還付型とは
空港還付型とは、買い物時にレジで消費税を支払い、出国時に持ち物と購入リストを照合し、問題がなければ消費税が還付される制度です。この方式により、消費税回収の確実性が高まるとされています。
一方で、免税売り上げに依存している一部の小売業者にとっては不利になる可能性も指摘されていますが、この問題は政府としても無視できないレベルに達しており、日本も世界基準に合わせて空港還付型を主流にしていく方針のようです。今後の動向に注目です。
2024年夏期国際線定期便の動向
最後に、先日国土交通省が発表した「2024年夏期スケジュール 国際線定期便の概要」についてご紹介します。これは、日本の空港における国際線の発着便数に関するデータです。
いくつか注目点を挙げると、まず2019年比で韓国路線が56%増加しており、大幅な回復を見せています。
ただし、2019年は日韓関係が悪化し、就航便数も減少していた時期との比較のため、単純に額面通りに捉えるのは少し注意が必要です。一方、2019年に訪日旅行客数1位だった中国は、依然として回復途上にあり、2019年比で62%にとどまっています。また、ウクライナ侵攻の影響が続くヨーロッパ路線も、2019年比で62%にとどまっています。
主要空港の発着便数の状況
主要空港である成田、羽田、関西、中部、福岡の状況を見ると、羽田と福岡は既に2019年を上回る就航便数で推移しており、成田と関西も2019年比で90%程度まで回復しています。ただし、成田の米国路線は2019年比で56%、関西の中国路線も56%と、回復の足踏みが続いている状態です。
地方空港の発着便数の状況
地方空港では、小松、松山、熊本、大分の4空港が2019年を上回る便数を確保しており、特にこれら4空港の韓国路線は2019年比で14%増加し、回復を後押ししています。
さらに、地方分散のための手段として政府を挙げてラグジュアリーホテルの誘致を行っています。まずは消費額が大きい富裕層に対して「このホテルに行こう!」と思ってもらえるようなホテルを誘致していくとのことです。例えば鳥取にはラグジュアリーコレクションホテル、瀬戸内エリアにはマンダリンオリエンタルホテルの建設が計画されています。こういったラグジュアリーホテルの建設計画を追いかけていくことで、次に訪日外国人、特に富裕層がどこに来るのかが見えてくるかも知れません。
まとめ
国土交通省は、2030年までに訪日外国人旅行者数6,000万人を目指すインバウンド方針を掲げ、地方分散や免税制度の見直しを進めています。特に、ラグジュアリーホテルやクルーズ船の誘致により、地方観光の促進を図っています。また、免税制度の「空港還付型」への移行で、税収の確実性向上と不正防止が期待されています。2024年夏期には韓国路線が回復傾向にありますが、中国や欧州路線は回復途上です。これら施策を活かすことで、観光業界の成長が期待されます。
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この記事を書いた人
一貫して営業畑を歩み、前職の広告代理店でインバウンド事業部を立ち上げ目標売上300%を達成し、その実績を買われ2016年にENJOY JAPANに参画。クライアントはドラッグストアとメーカーが多く、徹底してクライアントの売上向上に尽力してきた結果、一度担当したクライアントは必ずと言っていいほどリピートしていく。