中国でここ数年凄い勢いで伸びている成長分野として「知識課金」があります。

それまでの中国では知識や情報にお金を払うという意識が低い人が多く、知識に課金するというビジネスモデルが成立するとは思われていませんでしたが、今の中国では正しく深い知識を得るために費用を支払うということは一般的になりつつあります。

そういった時流の中で今回紹介する「知乎」(Zhihu/ジーフー)は高い成長が見込まれているアプリで、中国において最も有名なQ&Aサイトと言われています。※日本語では知乎を「ちこ」と呼ばれることもあります。

今回は、中国の方が知乎をどのように使っているのか、中国マーケティングの手法としてどの様な活用ができるのかお伝えします。

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「知乎(zhihu)」とは

知乎は2011年にサービスが開始されたQ&Aプラットフォームです。2020年末の段階で年間アクセス数は30億回、質問件数4400万件、総回答数は2.4億件に上ります。月額課金ユーザー数は250万人を超えており、Q&Aアプリとしてはトップシェアをほこっています。

「知乎」の特長、Yahoo!知恵袋との違い

Q&Aアプリとして開発された知乎ですが、サービス開始から10年経った現在ではQ&Aのみにとどまらず、知識に関するさまざまなコンテンツを展開しています。知乎独自のウェブマガジンの発行、学習用音声コンテンツの販売、ライブ配信、会員向けサブスクリプションサービス等、知識を得るコンテンツを網羅した総合プラットフォームとして進化していっています。

日本のQ&AアプリはYahoo!知恵袋が一番有名ですが、知乎はYahoo!知恵袋と同じようなアプリと考えるのは間違いです。知乎がYahoo!知恵袋と比べてどのような違いがあるか具体的に説明していきます。

まずYahoo!知恵袋はQ&Aの機能以外はほとんどなく利用者もQ&A以外での利用をすることは少ないですが、知乎はQ&Aだけでなくあらゆる知識コンテンツがアプリに入っているので何か学びたいことがあるときに真っ先に開くアプリになっています。それにより会員サービスや知識欲を満たすようなコンテンツのファンが増え、知乎に滞在する時間も伸びることになっています。

またアプリ内の検索を行うことで過去の回答から最適なものを選んでくれ、ユーザーが知りたい情報にたどり着きやすいように設計されています。

次に回答の質と量もYahoo!知恵袋と大きな違いがみられます。Yahoo!知恵袋は気軽に誰でも質問、回答をすることができるイメージですが、知乎は質問に対してその道の専門家や経験者が詳細をしっかりと長文や画像付きで回答してくれることがとても多くなっています。

これは知乎のシステム上の理由があり、知乎には回答者におひねりとしてお金をプレゼントできる機能があり、回答者は自身のアカウントフォロワーを増やすことで収益を得る機会が増えるからです。回答者のアカウントから自身の販売する知乎電子書籍や、知乎live、外部のWechat公式アカウント等への誘導も可能となりますので自然と回答の質が高まり、良い回答者にはフォロワーが増えて新たな収益が生まれる。という流れが作られています。

「知乎」を使ったマーケティング手法

中国の最新トレンドや中国の専門家の意見を得たい時にマーケティング会社を通じて調査を行ったり、独自に微博や微信等のSNSから情報を収集することが多いかと思いますが、知乎を活用することもとても有効な方法です。

知乎を使った中国マーケティングの手法その1

・検索エンジンとして活用する

中国の検索エンジン最大手は「百度」ですが、日本人がGoogleやヤフーで検索をするようには中国人は百度を利用しません。その理由としては百度の情報は広告が多くて見ずらかったり、フェイク情報が多かったり、欲しい情報が探しにくいという点が大きいからと言われています。

その代わりに中国ではSNS(微信、微博、头条、抖音)等を使って検索する割合が多くなっていますが、SNSだとまとまった情報ではないので、これも情報の信頼度としては低いというのが課題でした。

知乎はその中でも知識や知りたい情報を正確に表示する検索エンジンとして利用され、情報量も豊富で回答が評価制になっているので信頼性も高くなります。人気のある回答や回答者ほど上位に上がってくるので見やすく、必要な情報が入手しやすい仕組みになっています。

知乎を使った中国マーケティングの手法その2

・専門家に直接回答オファーをする

知乎では専門家を探して回答をもらいたい人へ直接回答オファーを出すことができます。

自分の信頼している人や専門分野の人へ直接依頼することでより精度の高い回答を得ることができるでしょう。

中国について調べたいことがあった場合、中国専門のマーケティング調査会社へ依頼するというのが一般的な流れかと思いますが、知乎を使って直接専門家を探してダイレクトにやり取りをすることで中国の調査や課題解決を素早く行うことができるでしょう。

知乎を使った中国マーケティングの手法その3

・有料質問で良質の回答を得る

知乎は無料で質問を書くだけでも多くの回答を得ることができますが、付费咨询という有料での質問をするとより具体的で的確な多くの回答を得ることができます。

有料質問は質問から48時間以内に多くの回答を得ることができ、ベストアンサーに支払いを行うという仕組みですが、その間には回答者との間で補足説明や、追加質問等のメッセージのやり取りも可能なのでより具体的な課題解決ができることになります。

知乎を使った中国マーケティングの手法その4

・人気回答者に取り上げてもらう

知乎にはSNSのように回答者をフォローする機能があります。人気回答者は何百万ものフォロワーがいることもあります。
そのような回答者に交渉をして、ある相談への回答に自社の商品を解決策の1つとして紹介してもらうことで、商品の認知と理解を広めることが可能です。
ただし、知乎はステルスマーケティングになるようなことには非常に厳しい対応を取っているので、回答者が本当に解決策になると思う商品しか紹介をしません。

知乎を使った中国マーケティングの手法その5

・自社公式アカウントを開設して悩みに回答する

知乎は、中国最大のQ&Aサイトなので、多くの悩みが日々投稿されています。
そこに自社のアカウントを開設して、いかに自社の商品が悩み解決の手伝いができるかを回答することが可能です。
ただし、あまり露骨に宣伝しすぎると嫌われる可能性が高いので内容はよく考えて回答しましょう。

まとめ

知識課金のトップアプリである知乎を活用することで、今まで百度やSNSでは知ることのできなかった中国のリアルな情報や専門家の意見が、直接入手することが可能になります。また、中国の方々が日々どういった悩みや質問をしているのか広く理解することが可能です。中国最大のQ&Aアプリ「知乎(zhihu)」について、もっと具体的な内容が知りたい場合などは、お気軽にご相談下さい。

YouTube動画でも解説

今回のコラムは、YouTubeでアニメーション動画でもご覧頂けます。5分程度ですので、通勤の行きかえりなどでもお楽しみ頂けます。併せてぜひご確認ください!


この記事を書いた人

目代 有史郎(Mokudai-Yushiro)

目代 有史郎(Mokudai Yushiro)

早稲田大学在学中に、HP制作会社や広告会社を創業。その後、ENJOYJAPANの立ち上げに参画。 「インバウンド」という言葉がまだ使われていない時期から中国人観光客向けの プロモーション事業を開始し、紙媒体からデジタル化への移行を経験。 メーカーや小売、代理店など幅広いクライアントを担当し、小売りクライアントの 月額免税売上数十億円の達成をサポートするなど、「売上に直結する提案」を得意とする。

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