中国市場は、大都市である1~2線都市を中心にビジネスで注目を浴びてきましたが、最近、3線都市である下沈市場(シェアチェン市場)が注目を集めています。
今回は、下沈市場の概要や消費者特徴などまとめましたのでご覧ください。
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下沈市場とは?
近年、中国のビジネス界に新たに「下沈(下沉:シャアチェン)」という言葉が生まれました。
「下沈」というのは、ブランドが従来ターゲットとしている顧客層のひとつ下の利用層を指しますが、
中国では第3~6線都市を「下沈市場」と分類しています。
下沈市場の消費者特徴
2019年下半期から、アリババ社やテンセント社などの多くの中国大手IT企業がターゲット層の見直しや地方事業展開を図りました。現在、下沈市場の総人口は10億人近くあり、中国人口の70%を占めます。中国全土地域で見ると95%を占めています。ちなみに、「第3~6線都市に住んでいるから」と言って必ず下沈市場の消費者というわけではありません。中には第1線都市で暮らす工場勤務の人、バイクタクシーやデリバリーのドライバーを仕事にしている人なども下沈市場の消費者に属します。
下沈市場の消費者と判断するポイントは、
「購買者+購買力+購買欲」
上記3つの消費者の行動レベルを見て判断します。
下沈市場における消費者の特徴は、上記で述べた3~6線都市に住む人々や、高収入者が集まる1,2線都市で暮らしているが収入のない人々です。
さらに1,2線都市に出稼ぎに来たはいいものの仕事のストレスに耐えられず帰省してしまった人たちも下沈市場の消費者になります。彼らは、1、2線都市にいた頃から購買欲が高く、帰省した後もその購買欲は減らずにいることが多いため、下沈市場の主力となっています。
1、2線都市の平均年収は下沈市場より高いが、物価も高いため出費する金額も高くなります。自由に使えるお金は下沈市場に比較して少なくなる場合があります。
逆に、下沈市場は物価が安く、仕事や経済的なストレスが低いため、結婚や出産などのライフイベントを迎える人々の生活に適していると言えます。
また、オンラインショッピング需要が加速し、オフラインショッピングの後退が進んでいますが、下沈市場は依然として実店舗に足を運びショッピングすることを好む人々が多いと言われています。そして、「下沈市場」がカバーする小売業界の総売上は全体の48.8%を占めました。
下沈市場のEC&アプリの利用傾向
価格に敏感な下沈市場の消費者たちは、割引やキャッシュバックなどのイベントを積極的に実施しているプラットフォームを好んで利用する傾向があります。「グループ購入(拼团)」、「値下げ(砍价)」を特徴とするECプラットフォームは近年急成長を見せています。
例えば、日本でも報道されている中国のECプラットフォーム「拼多多(Pinduoduo)」がその例です。
また、EC以外でのアプリでも北京や上海などの都市部と、下沈市場のユーザーの好みは異なることがあり、代表的な例で言うと、都市部では抖音(TikTok)が好まれていますが、下沈市場では「快手(kuaishou)」が好まれています。
抖音と快手は同じショート動画のアプリです。
日本でもお馴染みのTikTokの中国版「抖音」はかっこよく編集されてオシャレな音楽で編集されている非日常的投稿が多いのに対し、「快手」ユーザー特徴は日常感があり素朴で親しみやすい感じの動画が好まれる傾向にあります。そのため企業も抖音と快手を利用したマーケティングを行うにはコンテンツを分けて発信する必要があります。まだまだ、下沈市場では現地の中国企業が強く、日本企業の存在感が低いと見受けられます。
ただし、存在感が低いのは日本ブランドだけでありません。
逆を言うなれば、施策の展開によっては大きく優位を見いだせる可能性がある市場と言えるでしょう。都市部に比べて広告費も安く、拼多多や快手が大きくユーザーを獲得しているためチャレンジもしやすいかもしれません。
もちろん市場を勝ち取っていくことは簡単なことではありません。下沈市場は独立した市場で、かつ対策していかなくてはいけない地域が多いため、各地域の文化や開発段階の違いによって、下沈市場をさらに細分化して市場分析を行う必要があります。よく分析して「ここだ!」という市場を定めチャレンジしていくことが成功への道だと考えられます。
まとめ
ENJOY JAPANでは、下沈市場の分析を日々行っています。分析パートナーを組みたいなど思っていただけたメーカー企業の担当者の方は是非お気軽にお声掛けいただけましたら幸いでございます。
youtube動画でも解説
今回のコラムは、youtubeでアニメーション動画でもご覧頂けます。5分程度ですので、通勤の行きかえりなどでもお楽しみ頂けます。併せてぜひご確認ください!
この記事を書いた人
変化の早い中国のマーケティング情報を、「早く」「わかりやすく」をモットーに弊社メンバーや専門家などのチームで記事を執筆しています。