中国で人気のSNSランキングや、MAU数(Monthly Active Users:月間アクティブユーザー数)などの、中国SNSマーケティングやプロモーション計画に役立つデータをENJOYJAPANがまとめました。中国のソーシャルメディア業界は変化がとても早く、さらに各プラットフォームで公開している情報が異なるため、当社で情報の整理を行い、以下中国の主要なSNSプラットフォームのユーザー数やユーザー属性などの情報をこちらのページに随時アップデートして参ります。

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中国国内主要SNSの2024年MAU比較

メッセンジャーアプリの微信がMAU数で一位なのは当然ですが、二位の抖音、三位の快手と、ショートムービー&ライブコマースを主軸とするプラットフォームが上位にランクインしている点は特に注目すべきです。近年、中国では短時間で情報を消費できるショートムービー形式が急速に普及しており、特にライブコマースとの連携がユーザー定着のカギとなっています。抖音や快手は、単なるエンタメプラットフォームではなく、消費行動を生み出すマーケティングチャネルとしても確立されており、中国市場における広告・プロモーション戦略の中核を担っています。

中国国内主要SNSのMAU推移(2019-2024)

メッセンジャー機能を主とするSNSの微信は微増を続け、2024年のMAUは10.6億人に達しました。中国国内のネットユーザー数が飽和状態にある中、若年層の利用傾向はショート動画やライフスタイルSNSへ移行しつつあります。それでも、海外版WeChatを含めたユーザー数は13億人超と、依然として中国最大のSNSであり続けています。

特に成長が目立つのはショート動画市場で、TikTokの本国版である抖音は2024年に8.05億人のMAUを記録し、2019年からの5年間で1.7倍以上に増加しました。同じくショート動画プラットフォームの快手も7.14億人まで拡大し、2019年比で2倍以上の成長を遂げています。これは他の主要SNSと比較して圧倒的な伸びであり、ショート動画が中国のデジタル市場で主流のコンテンツ形式となったことを示しています。通勤中や休憩時間に気軽に視聴できる点に加え、ライブコマースやEC機能の拡充がユーザー定着の要因となっています。抖音が幅広い層をターゲットにする一方で、快手は地方ユーザーに強みを持ち、ライブ配信やコミュニティ要素を重視する戦略を展開しています。

一方、従来型SNSの成長は鈍化し、微博(Weibo)は2024年には4.88億人に減少。特に若年層のショート動画プラットフォームへの移行が顕著です。bilibiliは2024年に3.36億人となり、2022年(3.33億人)以降ほぼ横ばいが続いています。一方で、小紅書(rednote)は女性ユーザーを中心に支持を集め、2019年の8,236万人から2024年には2.18億人に増加。ファッションやコスメ、旅行の情報収集ツールとしての利用が広がり、ECとの連携も進んでいます。

2022年以降、中国のネットユーザー数はすでに飽和状態となり、各SNSの急成長は難しくなっています。しかし、抖音や快手のように、動画とECを融合させた新たなサービスモデルを打ち出すことで、成長の余地はまだ残されていると言えるでしょう。今後は、どのプラットフォームが新たな価値を提供し、ユーザーの関心を維持できるかが見所です。

参考

各プラットフォーム別動向

微信

微信

中国国内MAU(月間アクティブユーザー)数:106,264
(参照期間:2024年Q3平均MAU数)

今日の微信は単なるチャットアプリの枠を超え、機能豊富な総合アプリへと進化しました。「视频号(チャンネル)」、「公众号(公式アカウント)」、「小程序(ミニプログラム)」、「ライブ配信」など、多様なサービスを提供しているほか、「翻訳」や「検索(搜一搜)」などの便利なツールも内蔵されています。また、「微信支付(WeChat Pay)」は、日常生活に欠かせない決済手段の一つとなっており、中国本土の人口が14億人なのに対し、微信のMAU数は約11億人と、約8割の普及率となっています。

※微信は中国国内向け、WeChatは中国国外向けとなっており、異なるアプリです。

中国の都市階級
  • 一級都市:上海市、北京市、広州市、深セン市
  • 新一級都市:成都、重慶、杭州、西安、武漢、蘇州、鄭州、南京、天津、長沙、東莞、寧波、佛山、合肥、青島
  • 二級都市:昆明、寧波、福州、厦門など
  • 三級都市:洛陽、揚州、桂林など
  • 四級都市:吉林、西寧など
  • 五級都市:海南、張家界など

微信は中国国内で広く普及しているものの、ユーザー層はやはり若手世代に偏っています。ユーザーの男女比に差があるのは、若手世代の人口構造が一要因だと考えられます(中国若年層は、女性より男性のほうが多い)。都市分布では、経済発展が進み、人口も多い三級以上の都市にユーザーが多く分布しています。

QQ

QQ

中国国内MAU(月間アクティブユーザー)数:56,200
(参照期間:2024年Q3平均MAU数)

QQは長らく中国の国民的チャットツールとしての地位を維持していましたが、WeChatの普及に伴い、QQを使用する機会は減少傾向にあり、現在ではMAU数がWeChatのほぼ半分となっています。WeChatは電話帳を基調とした強い関係性のある知人同士のネットワークと豊富な機能の追加によって、その利用者数を伸ばしてきましたがQQは広範なソーシャルネットワークに重きを置き、純粋なコミュニケーションツールというよりは「交友ツール」に近いです。そのため、WeChatの現実の人間関係を反映した窮屈なコミュニケーションを嫌う若年層が未だにQQを利用し、QuestMobileのデータによると、2023年3月時点で、Z世代の月間アクティブユーザー数が最も多いアプリTOP5の中で、QQは依然としてZ世代ユーザーに最も好まれているアプリとなっています。また、QQユーザーは学习通(中国の大学や教育機関で広く使用されている学習管理システム)の利用を好む傾向があり、やはり学生が中心のユーザー層となっていいることが分かります。

抖音

抖音

中国国内MAU(月間アクティブユーザー)数:80,521
(参照期間:2024年Q3平均MAU数)

抖音はTikTokの中国本土版であり、中国国内で最も人気のあるショート動画プラットフォームの一つです。エンターテインメントや情報発信の場として幅広い層に利用されています。若年層を中心に人気がありますが、中高年層の利用も増えており、年代を問わず幅広いユーザーに支持されています。特に、若年層には流行の音楽やダンス、ライフスタイル関連のコンテンツが好まれる一方で、中高年層には健康や実用的な情報、家庭向けの内容が関心を集めています。

性別の偏りはほとんどなく、男女ともにバランスよく利用しているのも特徴です。ファッションや美容、ライフスタイルに関するコンテンツは女性ユーザーに人気がある一方で、スポーツ、ビジネス、テクノロジー関連のコンテンツは男性ユーザーにも広く受け入れられています。また、教育や健康、家族向けの動画など、性別を問わず幅広い世代が興味を持つジャンルも数多く存在します。

都市分布においては、大都市圏のユーザーだけでなく、地方都市や農村部のユーザーも多く、全国的に広く利用されていることが特徴です。特に地方では、実用的な情報や日常生活に役立つコンテンツが好まれる傾向があり、マーケティング戦略を立てる際には、都市部と地方の嗜好の違いを考慮することが重要になります。

このように、抖音は、単なる若者向けのSNSではなく、中国全土の幅広い層にリーチできるプラットフォームです。

快手

快手

中国国内MAU(月間アクティブユーザー)数:71,400
(参照期間:2024年Q3平均MAU数)

快手は、中国で広く利用されているショート動画プラットフォームの一つで、特に地方都市や農村部での人気が高いことが特徴です。抖音と比べると、より地域に密着したコミュニティが形成されており、リアルな生活感のあるコンテンツが多く見られます。そのため、都市部の若者向けにトレンドを発信するというよりも、地方市場や実用的な情報を求める層に強く浸透している傾向があります。

ユーザー層を見ると、若年層が多く利用している一方で、中高年層の割合も高く、幅広い世代に支持されています。若年層はエンターテインメントやライフスタイル関連のコンテンツを楽しむ傾向があるのに対し、中高年層は農業や手工業、伝統文化、健康といった実用的な情報を求めることが多いです。そのため、快手は単なる娯楽の場としてだけでなく、生活に役立つ情報を提供するプラットフォームとしても機能しています。

また、性別の分布を見ると、男性ユーザーがやや多いものの、男女ともにバランスよく利用されている点も特徴的です。都市分布に関しては、大都市圏のユーザーが比較的少なく、地方都市や農村部のユーザーが多い傾向が見られます。一級都市や新一級都市のユーザーは少数派であり、二級都市以下の地方ユーザーが大半を占めていることから、快手では都市部の流行や最新トレンドよりも、地方の文化や日常生活に根ざしたコンテンツが求められる傾向が強いと言えます。

微博

微博

中国国内MAU(月間アクティブユーザー)数:48,792
(参照期間:2024年Q3平均MAU数)

微博(Weibo)は、中国で広く利用されているTwitterとFacebookを融合させたようなSNSです。ユーザーは短文投稿、画像、動画、ライブ配信などを通じて情報を発信し、リアルタイムでのニュース共有やトレンドの拡散が活発に行われています。特に、セレブリティやインフルエンサーの影響力が大きく、企業やブランドにとってもマーケティングの重要な場となっています。

ユーザー層の特徴としては、若年層の利用率が高く、特に20代を中心に広く支持されています。ニュースやエンタメ、トレンド情報の取得を目的としたユーザーが多く、リアルタイム性の高いコンテンツが好まれる傾向にあります。また、ファッションや美容、アイドル・セレブリティの話題が盛んで、女性ユーザーの割合がやや高いのも特徴のひとつです。一方で、テクノロジーやビジネス関連の情報も発信されており、男性ユーザーの利用も一定数存在します。

都市部のユーザーが多く、特に北京や上海などの一級都市、新一級都市に住むユーザーが多数を占めています。そのため、微博は都市部の若年層をターゲットとしたマーケティングに適しており、トレンド性の高い商品やサービスのプロモーションに向いています。また、政治や社会問題への関心が高いユーザーも多く、拡散力のあるキャンペーンや話題性のあるコンテンツは大きな影響を生む可能性があります。

bilibili

bilibili

中国国内MAU(月間アクティブユーザー)数:33,600
(参照期間:2024年Q3平均MAU数)

bilibili(哔哩哔哩)は、中国で人気のある動画共有アプリで、YouTubeとニコニコ動画を融合させたようなプラットフォームです。アニメやゲーム、テクノロジー、文化、エンターテインメントなど多様なジャンルの動画が視聴でき、リアルタイムでコメントを投稿して交流できるのが特徴です。もともとはアニメやゲームを愛好する若年層に支持されていましたが、現在では教育、ビジネス、ライフスタイルといった実用的なコンテンツも充実し、より幅広い層に利用されるようになっています。

bilibiliの公式発表によると、2024年には子育てや筋トレ関連の動画が前年と比べて大きく再生数を伸ばしており、新たなユーザー層の参入や人気ジャンルの変化が見られます。特にユーザー層の特徴として、20代以下の若年層の利用率が高く、アニメやゲーム、テクノロジーに関心のある人々が多いことが挙げられます。オタク文化に精通したコミュニティとしての側面が強い一方で、近年ではドキュメンタリーやニュース、学習系コンテンツも充実してきたことで、知的好奇心の高い層やビジネスパーソンの利用も増加しています。

また、性別の割合はほぼ均等で、男性向けのゲームやテクノロジー系コンテンツ、女性向けのアニメやライフスタイル系コンテンツの両方が人気を集めています。都市部のユーザーが多く、特に北京や上海といった一級都市や新一級都市に住む人々が中心です。そのため、bilibiliは都市部の若年層をターゲットとしたマーケティングに適しており、テクノロジーやデジタル製品、エンターテインメント関連のプロモーションに向いているプラットフォームと言えます。さらに、学習コンテンツやビジネス関連の情報も増えていることから、知識志向の強いユーザーに向けたコンテンツ戦略も効果的です。

小紅書

小紅書

中国国内MAU(月間アクティブユーザー)数:21,811
(参照期間:2024年Q3平均MAU数)

小紅書(rednote)は、中国国内で特に18~35歳の若年層女性に支持されているSNS兼ECプラットフォームです。全体の約65%を女性ユーザーが占めており、特にZ世代(1995~2010年生まれ)の利用が目立ちます。主な関心分野はコスメ、ファッション、ライフスタイルで、商品のレビューや口コミを参考にする文化が根付いています。

近年、一線都市(北京・上海・広州・深圳)だけでなく、新一線都市や二線都市のユーザーも増えており、購買意欲の高い地方の中産階級層にも影響を与えるプラットフォームへと成長しています。都市部のホワイトカラー層や「おしゃれママ」層の利用も多く、単なる若者向けアプリではなく、ライフスタイル全般に関心のある幅広い層に支持されています。

また、小紅書のユーザーは、商品の口コミやレビューを重視する傾向が強く、購入前に投稿を参考にすることが一般的です。特に、「种草(草を生やす)」という文化が根付いており、これは「購買意欲を刺激する口コミを投稿する」という意味を持ちます。

ユーザーは、自分が実際に使った商品の感想を投稿し、それを見た他のユーザーが購入を検討する流れが一般的です。また、近年は動画コンテンツの消費が増えており、ショート動画が特に人気を集めています。

そして小紅書は、KOL(Key Opinion Leader)やKOC(Key Opinion Consumer) の影響力が非常に大きいSNSです。

  • KOL(インフルエンサー・専門家) … フォロワー数が多く、ブランドの認知度向上に貢献。
  • KOC(一般ユーザーインフルエンサー) … 実際に商品を使ったリアルな口コミを発信し、消費者からの信頼度が高い。

企業のマーケティング手法としては、KOLやKOCとのタイアップ投稿が主流です。影響力のあるユーザーに商品を試してもらい、レビューを投稿してもらうことで、購買意欲を高める狙いがあります。さらに、ハッシュタグチャレンジなどのUGC(ユーザー生成コンテンツ) を活用することで、多くのユーザーの参加を促し、商品の話題性を高めることができます。最近では、小紅書専用の公式アカウントを開設し、ブランド情報を直接発信する企業も増えています。

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この記事を書いた人

ENJOY JAPAN 編集部

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