毎年開催されている中国最大のショッピングイベント、「W11」が終わって約1か月後の12月12日に、「W12」というセール祭りが開催されていることは、皆さんも何となく聞いたことがあるのではないでしょうか?
中国でもW12はW11と比べると、どこか寂しく物足りない印象なのは、否めません。今年のW12は「悄悄来,快快走(静かに訪れ、素早く消え去った)」と表現されていたりします。このことは2つのイベントの今までの流れや、立ち位置の違いなどが関係しています。それはどういうことなのか?詳しく解説していきます。

ただ、W11と比較すると日本で報道されることはほとんどなく、日本の検索エンジンで検索をしてもW11に関するネット上の記事はこのようにたくさんでてきますが、W12に関する記事はほぼでてきません。
※【関連記事】中国最大!ショッピングイベント「W11 」レポート【2020年】

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W12が開催された背景

まずW12の始まりについてです。2009年にスタートしたW11が思いの外大ヒットイベントとなり、2匹目のドジョウを狙ったアリババが2年後の2011年に初めて開催しました。一見、同じようなセールイベントに見えますが、ざっくりとすみ分けはされています。

W11とW12の違い

どんな住み分けがされているかというと、

『W11』はネット通販に、『W12』はスーパーに

という格言が中国にあるように、W11はオンライン店舗が中心となったイベントなのに対して、W12はリアル店舗を含めたショッピング全体のイベントという位置づけになっています。
またW11は日本をはじめとする全世界を対象としているのに対し、W12はリアル店舗が絡むこともあり中国国内が中心となっているイベントです。
以上のような背景から、リアル店舗でよく使われる決済サービスの支付宝(Alipay)がW12に力を入れていて、支付宝のアプリ上でフードデリバリーサービスや映画のチケット、スーパーマーケットなどで使える割引や「Buy 1 Get 1」のキャンペーンを展開しています。

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そして、全体的にW11の割引条件が複雑すぎる傾向なのに比べると、W12は非常に分かりやすい割引方法になっている傾向があるのも特徴です。W11もこれくらい分かりやすい割引にすればいいのに、と思うのは私だけではないはずです。

さて、「ショッピング全体のイベント」と聞くと、それだけ規模が大きくW11以上に盛り上がりそうですが、そう簡単ではないんですね。

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中国版Twitterである微博の口コミ数でみると、その人気の差は歴然です。「W11」で1,528万件の口コミがされているのに対して、「W12」については477万件の口コミと、約3.2倍程度の差があります。全体の売上も同様で、2020年天猫W11の一日の売上が4,982憶元(約7.8兆円)だったのに対し、W12は売上の公表すらありません。それだけ注目がされていない、ということですね。なぜこのような差になっているのか、明確な答えはありませんが、W12は2匹目のドジョウだったこと、出店企業がW11で力を使い果たしてしまっていること、メインターゲットが中国国内であること、などなど、様々な要因が重なってしまっていることがこのような差になっていると考えられます。ただそこは中国企業。知名度としては浸透しているW12というビジネスチャンスを、このまま中途半端なままに終わらせるとは思えません。近い将来、W11級のイベントになる可能性も否定できません。来年以降の動きに注目をしていきましょう。

W11・12から見る中国のセールスケジュール

最後に、W12以降のセールイベントについてもご紹介します。皆さんがパッと思い浮かぶのは日本でもW11の次に有名になっている、京东(JD.COM)の会社の創立記念日に行われる 6・18セールではないでしょうか。そして、この6・18やW11に比べると大規模ではないですが、6・18セールよりも前にいくつかセールイベントがあります。
代表的なセールは2つです。まずはW12の直後でいうと、「年货节」があります。毎年1月後半から2月前半にある春節は、日本で言うとお正月にあたるため、その前に2月の春節に向けて親族が揃って食事をするための食材が安くなったり、新年は新しい衣服で迎えるという中国の習慣に合わせて、ファッション系の店舗がセールを行ったりします。その後、3月8日の国際女性デーに合わせて、女性向け商材がメインのセール対象となる「女王节」などがあります。

これだけセールが続くと、消費者からすればお得に買い物ができるのでとてもいいことですが、店舗側からすると、利益は少なくなるし、セールに向けての準備は大変だし、売上が増えるとその分発送作業なども増えるし、問い合わせ対応も増えるし、などなど、一概に良いことばかりではない、という側面もありますよね。あなたはどう思いますか?

【YouTubeでW12をレポート】

今回のコラムは、youtubeでアニメーション動画でもご覧頂けます。5分程度ですので、通勤の行きかえりなどでもお楽しみ頂けます。併せてぜひご確認ください!

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この記事を書いた人

瀧澤 慧(Takizawa-Satoshi)

瀧澤 慧(Takizawa Satoshi)

一貫して営業畑を歩み、前職の広告代理店でインバウンド事業部を立ち上げ目標売上300%を達成し、その実績を買われ2016年にENJOY JAPANに参画。クライアントはドラッグストアとメーカーが多く、徹底してクライアントの売上向上に尽力してきた結果、一度担当したクライアントは必ずと言っていいほどリピートしていく。

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