韓国市場におけるインバウンドマーケティングの最新動向を探るため、ENJOYJAPANとCREATIPが共同で調査を実施しました。その調査結果をもとに、韓国の訪日観光客がどのように情報を収集して共有しているのかについて、株式会社CREATIP代表の蝦名将さんと対談しました。対談内容をまとめましたのでぜひご覧ください。
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株式会社CREATIPとは?

株式会社CREATIPは韓国・ソウルを拠点に17年の実績を持つマーケティング企業です。元々は海外企業の韓国進出支援を行っていましたが、近年では韓国企業の日本進出支援にも力を入れています。日本国内および韓国内のマーケティング戦略を手掛けています。
▶株式会社CREATIP|https://creatip.co.kr/ja/
調査概要:韓国SNS・WEBオンラインメディア接触調査|2025年
ENJOYJAPANとCREATIPは、訪日観光を計画する韓国人がどのように情報をどのようなメディアを利用して収集しているのかを調査しました。有効回答数119名のアンケート結果をもとにその実態を明らかにしていきます。
また、今回のENJOYJAPANとCREATIPの動画については、以下のリンクからご覧いただけます。韓国市場におけるマーケティングに関心のある方は、ぜひ参考にしてください。
訪日時・訪日検討時の情報取得メディア

「訪日時・訪日検討時の観光情報をどのメディアを利用して取得しますか?」という質問に対し、結果は以下のようになりました。
- 1位(同率):NAVER検索(65.5%)
- 1位(同率):Instagram(65.5%)
- 2位:YouTube(63.9%)
- 3位:Google(59.7%)
NAVERとInstagramが同率で1位という結果は、韓国のデジタルマーケティング戦略に大きな影響を与える可能性があります。これまでNAVER中心だった情報収集が、InstagramやYouTubeといったSNSが台頭してきということは、企業がどのメディアに注力すべきかの指針にもなります。
特に、Instagramの活用が進んでいることから、視覚的に魅力的なコンテンツを提供することが重要であるということがわかりました。
かつては「韓国ではNAVERが圧倒的」と考えられていましたが、「NAVERとインスタグラム、YouTubeはそれぞれ役割が異なり、感覚的な情報はInstagramで取得し、詳細な情報はNAVERやGoogle、YouTubeで検索するなどの使い分けがされている」と分析できます。
訪日観光客のNAVERとGoogleの検索エンジンの使い分けについて

NAVER:韓国の代表プラットフォーム。困ったらまずNAVERで検索
Google:日本の代表プラットフォーム。日本現地の情報をリサーチ。旅行中は、食べログGoogleマップを併用して現地情報を取得
NAVERは韓国の主要な情報プラットフォームとして広く利用されており、多くの韓国人は困ったときにまずNAVERで検索する傾向があります。
一方で、Googleは日本国内で主要な検索エンジンとして定着しており、訪日観光を計画する際には日本の情報が豊富に蓄積されているGoogleを活用する人も多くなっています。そのため、訪日時の情報収集においては、NAVERとGoogleの両方を適宜使い分ける韓国人観光客が増えていると考えられます。
韓国の方にとって、訪日する多くの方は日本だからこそ体験できるものを求めています。そして日本で流行しているものを直接味わいたい、つまり、日本の最新トレンドを追いかけたいという欲求が韓国の訪日客の中にも十分にあると考えられます。
商品情報の認知メディア

「化粧品や食べ物などの商品情報をどのメディアを利用して知りますか?」という質問の結果は以下の通りです。
- 1位:YouTube(63.0%)
- 2位:Instagram(58.8%)
- 3位:Google(40.3%)
- 4位:NAVER検索(39.5%)
商品情報の取得においては、長尺の動画で詳しく知ることのできるYouTubeが圧倒的な影響力を持っていることが明らかになりました。また、Instagramのリール動画も短時間で視覚的に情報を得る手段として活用されています。
「韓国のインフルエンサーは説明が非常に詳細で、ストレートに感想を伝える文化がある」とし、韓国におけるインフルエンサーの影響力の強さを確認できます。
上位動画メディアと続く検索メディアの使い分け
YOUTUBE・Instagram:長尺動画で多数の商品情報を得る
Google・NAVER:検索の過程での新情報、追加情報を得る
YouTubeが1位という結果は、韓国の消費者が商品情報を詳細に理解しようとする傾向を示しています。これは、韓国のインフルエンサー文化とも密接に関連しており、詳細なレビューや体験談が好まれることを示しています。企業が韓国市場で商品を認知させるためには、影響力のあるYouTuberやInstagramリールを活用し、視覚的・体験的な情報発信を行うことが効果的です。
NAVERやGoogleがそれに続いている理由として、ユーザーがより詳しい情報を求めて検索する傾向があることが挙げられます。初めにSNSや動画メディアで興味を持ち、その後より詳細な情報を検索するという流れが一般的です。NAVERやGoogleには、追加の情報を得るための信頼できる情報源が多く存在しており、ユーザーが新たな発見をする機会も多いと考えられます。
商品情報共有のためのメディア
「自分が手に取った商品や体験した情報を共有する際、どのメディアを利用しますか?」という質問に対し、以下の結果となりました。
- 1位:カカオトーク(50.4%)
- 2位:Instagram(49.6%)
カカオトークは韓国の主要なメッセージアプリであり、日本のLINEと同様に親しい友人や家族との情報共有に使われています。特に、旅行中の情報をリアルタイムでシェアする際に多く活用されていることが分かりました。
カカオトークが1位にランクインしていることから、韓国の消費者は親しい関係の人々と情報を共有する傾向が強いことが分かります。日本のLINEと同じように、カカオトーク内で口コミが広がることが多いため、企業は公式カカオトークチャンネルの活用や、キャンペーンによるシェア促進などを考慮するとよいでしょう。
日本の医薬品が人気の理由
韓国の訪日観光客は、日本の薬や湿布、化粧品をお土産として購入するケースが多いです。その理由は韓国にはないタイプの医薬品が多く特に湿布や汗拭きシートなどの利便性の高い商品が人気です。
また、日本の薬は即効性が高いと認識されており、訪日観光客にとって魅力的な商品であることが分かります。
韓国では、日本の医薬品は「より即効性がある」「使いやすい」といった評価を受けています。特に湿布や目薬などの日常的に使用するアイテムが人気で、日本でしか手に入らない商品を求める訪日観光客が多いことが分かります。韓国向けのプロモーションでは、これらのポイントを押さえておくと良いでしょう。
韓国市場向けのNAVER検索対策
韓国市場向けに商品をアピールする際には、NAVER検索対策が重要になります。NAVER検索の特徴として検索結果の入れ替わりが激しいため、定期的なコンテンツ配信が必要です。
具体的な対策は、大きく2つのフェーズに分けられます。
フェーズ1:ブランドの認知向上
- YouTubeやInstagramで認知を広げる
- 韓国人ユーザーにブランド名を覚えてもらう施策を展開
フェーズ2:NAVER内での検索結果最適化
- NAVERブログやカフェ(掲示板)で記事を作成し、検索結果に表示される状態を維持する
- 定期的にコンテンツを更新し、NAVERのアルゴリズムに適応する
- SEO対策として、NAVERで検索された際に正しく情報が表示されるよう最適化
NAVER検索では、ブランド名の認知が進むと直接検索される可能性が高まります。そのため、まずはYouTubeやInstagramでの情報発信を強化し、次のステップとしてNAVERブログやカフェでの情報発信を行うことが重要です。
特に、NAVERブログを定期的に更新することで検索結果の上位表示を維持しやすくなります。また、NAVERの検索結果は頻繁に変動するため、常に最新の情報を発信することが求められます。さらに、NAVER広告(パワーリンク)を活用することで、より多くのユーザーにリーチすることが可能です。
日本と韓国のインフルエンサー文化の違い
YouTubeやInstagramが知るきっかけになる点は、日本と韓国で共通しています。しかし、日本と韓国のインフルエンサーが発信する動画や写真のスタイルには違いがあります。
韓国のインフルエンサーは説明が非常に詳細で、感想をストレートに伝える傾向があります。何か商品を見たり、訪れた場所の体験をする際のリアクションがはっきりしており、動画を通じてその感覚がダイレクトに伝わることが特徴です。
一方、日本のインフルエンサーは、文化的背景もあり、オブラートに包んだ表現を使うことが多く、慎重な言葉選びをする傾向があります。
そのため、韓国のインフルエンサーのレビュー動画はよりリアルでダイナミックな印象を与え、消費者の購買意欲を刺激しやすいといえます。
韓国ではインフルエンサーの影響力が非常に強く、時には芸能人よりも影響力を持つこともあります。そのため、韓国市場向けのマーケティング戦略では、信頼できるインフルエンサーを起用し、商品の魅力をリアルに伝えることが重要です。また、ユーザーはインフルエンサーの言葉が本物であるかを厳しく見極めるため、誇張しすぎず、リアルな感想を伝えるインフルエンサーの方が支持されやすいです。
まとめ
今回の調査結果から、韓国の訪日観光客は情報収集の手段としてSNSを積極的に活用し、YouTubeやInstagramが大きな影響を持っていることが明らかになりました。特に、
- NAVER検索とGoogle検索が併用されている
- YouTubeやInstagramが商品認知の主要メディア
- カカオトーク・Instagramが情報共有の主要手段
- NAVER検索対策がSEOと同様に重要
といったポイントが明らかになりました。
ENJOYJAPANでは、今回の調査結果をもとに、韓国向けのマーケティング施策をさらに強化していく予定です。調査結果の詳細についてご興味のある方は、お問い合わせください。
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また、今回のENJOYJAPANとCREATIPの動画については、以下のリンクからご覧いただけます。韓国市場におけるマーケティングに関心のある方は、ぜひ参考にしてください。
インタビュイー

一貫して営業畑を歩み、前職の広告代理店でインバウンド事業部を立ち上げ目標売上300%を達成し、その実績を買われ2016年にENJOY JAPANに参画。クライアントはドラッグストアとメーカーが多く、徹底してクライアントの売上向上に尽力してきた結果、一度担当したクライアントは必ずと言っていいほどリピートしていく。