「店頭で選ばれる」から「訪日前に選ばれる」へ。メディア×インフルエンサー×広告の統合設計で、5市場の“旅マエ”に介入したインバウンドマーケティング

「店頭で選ばれる」から「訪日前に選ばれる」へ。メディア×インフルエンサー×広告の統合設計で、5市場の“旅マエ”に介入したインバウンドマーケティング

大手製薬メーカー(一般用医薬品・ヘルスケア商品)

対象国 全世界各地
業種 製薬・ヘルスケア
支援形態 インフルエンサー(KOL/KOC)プロモーション, 海外メディア・OTA/口コミプロモーション, 海外向けデジタル広告運用, 海外市場・消費者インサイト調査, 訪日インバウンド・海外マーケティング戦略コンサルティング
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クライアント大手製薬メーカー(一般用医薬品・ヘルスケア商品)
対象市場中国・台湾・韓国・米国・タイ
活用チャネルRED(小紅書)/Instagram/YouTube/TikTok/Naver/訪日メディア/Google広告/Meta広告
支援領域戦略設計、メディアタイアップ、インフルエンサーキャスティング、広告運用、外部データを活用したターゲティング設計
テーマ旅マエ(訪日前)における認知獲得と指名購買の創出

訪日外国人のドラッグストア商材の購買は、来店してから決まるのではありません。「日本で何を買うか」のリストは、母国でSNSやメディアに触れる“旅マエ”の段階でほぼ完成しています。つまり、店頭に商品を並べるだけでは、すでに出来上がった買い物リストに割り込むことはできません。

本事例では、大手製薬メーカーの一般用医薬品・ヘルスケア商品を対象に、中国・台湾・韓国・米国・タイの5市場で「訪日前に選ばれる商品」をつくるための統合マーケティングを実施。メディア記事、インフルエンサー、運用型広告、外部の旅行意向データを一つの購買プロセスの中に束ね、意思決定の“上流”への介入を実現しました。

1.課題:勝負は、入国前に決まっている

同社の商品は全国のドラッグストアで訪日客に広く購入されている一方、インバウンド売上をさらに伸ばすうえで、次の構造的な課題を抱えていました。

  • ① 購買は「旅ナカ」、意思決定は「旅マエ」。購入行動は訪日中に発生する一方、「何を買うか」の意思形成は訪日前にほぼ完結。来店時点の訴求では、すでに形成された選択肢に割り込めず、旅マエの認知不足がそのまま購買機会の損失につながっていた。
  • ② 「知っている」だけでは選ばれない商材。医薬品・ヘルスケア商材は、効能や使い方への理解が購買を左右する。単なる認知ではなく、「自分に必要な理由」まで届ける訴求設計が不可欠。
  • ③ 国によって情報収集の動線がまったく違う。中国はRED(小紅書)、韓国はNaverやInstagram・YouTube、台湾はInstagram・YouTube、米国はInstagram・YouTube・TikTok、タイはFacebookやTikTokと、市場ごとに購買判断の起点となるチャネルが異なり、単一媒体の横断配信ではリーチと理解促進を両立できない。

出発点

来店時点での競争ではなく、意思決定の上流=旅マエに介入する。
これが本プロジェクトの出発点でした。

2.戦略:3つの設計思想

設計① 旅マエ起点のフルファネル設計

購買行動を「認知 → 検討 → 想起」の3フェーズに分解し、各段階に最適な接点を配置。単一の接点で購買を完結させるのではなく、心理プロセスの段階ごとに役割の異なる施策を重ね、「来日前から知っている商品」として記憶に定着させる構造をつくりました。

フェーズ役割主な接点
認知興味関心の醸成SNS投稿・ショート動画・動画広告
検討商品理解・比較検討の促進メディア記事・レビュー投稿・検索広告
想起来店前のリマインドリターゲティング広告・ディスプレイ広告

設計② 国別チャネル最適化

同じ「訪日前ユーザー」でも、情報収集の動線は市場ごとに大きく異なります。中国ではREDの口コミ・レビューが購買判断の起点となり、韓国ではInstagramでの認知、Naverでの検索・比較行動が根強く、台湾・米国ではInstagramやYouTubeを通じたビジュアルな情報接触が主流です。本施策では国ごとに媒体の役割と優先度を明確に定義し、「どの国の、どの層に、何を、どの順番で届けるか」を設計したうえで配信を行いました。

設計③ UGC×広告×データの統合

インフルエンサーのオーガニック投稿は信頼性が高い一方、届く範囲に構造的な限界があります。本施策では、投稿をパートナーシップ広告として二次配信し、さらに旅行意向データ・訪日履歴データといった外部データをターゲティングに組み込むことで、「実際に訪日する可能性の高いユーザーへ、旅マエに確実に届ける」配信を実現。“信頼性”と“リーチの拡張性”というトレードオフになりやすい2つを同時に担保しました。

3.実施施策

① メディアタイアップ:“読み物”として商品理解を深める

中国・台湾ユーザー向けの訪日専門メディアに記事タイアップを実施。編集部・ライターが実際に商品を取り上げるコンテンツ形式のため、広告感を抑えながら商品特徴と使用シーンを深く伝えることができます。検索・SEO・AI経由の流入も設計に組み込み、キャンペーン期間後も効き続ける中長期的な認知資産として機能させました。

② インフルエンサー施策:5市場・4フォーマットで“実体験”を届ける

各国市場で影響力を持つインフルエンサーを起用し、実体験に基づく商品紹介コンテンツを制作・展開。目的別に4つのフォーマットを使い分けました。

フォーマット設計のポイント
レビュー型投稿「使用前後の変化」「具体的な使用シーン」を軸に信頼性の高いコンテンツを制作。特に中国向けはREDで、台湾、米国、韓国、タイ向けはInstagramなどで保存・検索されやすい詳細レビューとして展開。
Vlog/体験型訪日Vlogの中に、移動中・ホテル滞在中・観光の合間といったリアルな旅行動線に沿って使用シーンを自然に挿入。視聴者が自身の旅行に重ねて購買イメージを描ける構成に。
ショート動画Instagramリール・TikTokで「日本でのショッピングおすすめ商品」などのコンテンツを数秒で完結。テンポと視覚的インパクトを最優先し、商品を知らない潜在層への接触を拡大。
パートナーシップ広告インフルエンサー投稿をMeta広告やYouTube広告として二次配信。UGCの自然な見た目を保ったまま、旅行意向データを組み込んだ配信で訪日確度の高い層へリーチを拡張し、CTR・コンバージョン率の向上に寄与。

③ 運用型広告:顕在層から潜在層まで段階的に押さえる

Google広告・Meta広告を組み合わせ、購買意欲の温度に応じた多層的な配信を設計しました。

メニュー設計のポイント
検索広告「〇〇(カテゴリ) 日本 おすすめ」「コスメ  日本」など、訪日前に検索される可能性の高いキーワードへ配信。購買検討が始まった顕在層との接点を形成。
ディスプレイ広告旅行・美容・健康関連サイトの閲覧ユーザーへバナー配信。パッケージを視覚的に刷り込み、来日時のブランド想起を強化。
YouTube連動配信日本旅行関連の動画視聴ユーザーへ動画広告を配信(デマンドジェネレーション)。使用シーンを映像で伝え、来日後の指名検索につながる関心を喚起。
Meta広告(4形式)フィード(保存を促す設計)、ストーリーズ(数秒でベネフィットを直感訴求)、リール(アルゴリズム拡散で新規層へ)、カルーセル(用途別・シーン別の複数枚構成で比較検討を促進)を目的別に使い分け。

④ 外部データを活用したターゲティング

旅行意向データ・訪日履歴データをもとに、「実際に日本へ来る可能性の高いユーザー」へ配信を絞り込み。無駄なインプレッションを抑えながら、認知の“量”と“質”を同時に確保する配信基盤として、全施策を下支えしました。

4.成果

旅マエ起点の統合設計により、5市場において次の成果を確認しました。実施期間3か月。起用したインフルエンサー数170名。紹介した商品数は12点。

  • リーチ・認知:5市場合計で1億件以上のインプレッションを獲得。
  • 購買・指名行動:店頭POSにおける対象商品の売上最大400%以上の増加。紹介した12点全てにおいて売上増を確認。

本施策の核心

本施策の核心は、「ドラッグストアで買われる商品」を
「訪日前に選ばれる商品」として設計し直したことにあります。

5.本事例が示すもの

メディア記事・インフルエンサー・広告を個別施策の寄せ集めではなく、一つの購買プロセスの中に統合したこと。そして外部の旅行意向データにより「訪日する可能性の高いユーザーに、訪日前のタイミングで届ける」精度を担保したこと。この2つが、認知の量と質を両立させた本施策の成果要因です。

訪日客数が拡大を続けるなか、店頭での競争は今後さらに激化します。持続的な購買を創出する鍵は、意思決定の上流=旅マエへの介入です。「旅マエからの設計」と「確度の高いターゲットへの集中配信」を組み合わせる本アプローチは、医薬品・化粧品をはじめとするメーカー各社のインバウンド戦略において、再現性の高いモデルとなります。

自社商品を「訪日前に選ばれる商品」にしたいメーカーのご担当者様は、ぜひ一度ENJOY JAPANへご相談ください。

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