香港は人口約750万人ながら、訪日客数で常に上位に入る「超重要市場」です。
日本政府観光局(JNTO)の統計では、訪日香港人の約9割がリピーターという驚異的な数値を記録しています。
彼らにとって日本旅行は日常の一部であり、東京などの定番エリアを超え、地方都市での「未知の体験」や「深い文化」を熱心に探求しています。
また、1人当たりの旅行支出額が高く、特に「食」への消費意欲が旺盛なのも特徴です。
日本通が多い香港市場の攻略は、地方の観光資源を収益化するための最短ルートといえるでしょう。
本記事では、コロナ前の訪日香港人観光客市場に関する解説と、今後の傾向を紹介、将来につながるより良いPR方法などをまとめています。
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訪日香港人観光客の市場
国土面積が1,100平方キロメートルと、東京都の半分ほどの広さの香港では、国内旅行という概念がありません。地理的にも近い日本には、例えば東京に住んでいる人が飛行機に乗って北海道や九州などに遊びに行くのと同じ感覚で来ています。
自由貿易港となっている香港は関税や輸入規制がほとんどないため、日本製品は生活の身近なところに溢れており、日本食にも普段から慣れ親しんでいます。
後ほど詳しく紹介しますが、リピーターの多さがそれを物語っており、一度気に入ってもらえば何度も来たり買ってくれたりする顧客になりますので、日本にとってはとても大事な市場といえます。
また、東日本大震災により停止した訪日旅行を、いち早く再開したのが香港だったことで、香港の方々に感謝した人も多いことでしょう。
日本を訪れた香港人観光客の数

香港市場の重要性を裏付けるのが、その圧倒的な訪日者数です。
JNTO(日本政府観光局)が発表した2026年1月21日の最新資料(2025年12月推計値)によると、2025年1月〜12月の累計訪日香港人数は約251万人に達しました。2025年の訪日外客数全体が過去最高の約4,268万人を記録する中、香港は韓国、台湾、中国、米国に次ぐ主要市場としての地位を確固たるものにしています。
特筆すべきは、12月単月の数値です。12月はスクールホリデーやクリスマス休暇の影響もあり、単月で過去最高を更新するなど、冬の日本旅行に対する根強い人気が数字にも表れています。
人口比で見ると、香港の全人口(約750万人)の約3人に1人が、年間で少なくとも1回は日本を訪れている計算になります。この驚異的な「日本への関心度」こそが、香港をインバウンド対策において外せないターゲットにしている最大の理由です。
また、アウンコンサルティング株式会社が2021年に国別に実施した日本への好感度調査によると、日本を「大好き」と答えた香港人は全体の66.1%、「好き」と答えた人が30.4%もいました。このことから香港の親日ぶりが伺えます。
この件はマスコミやネットニュースなどではあまり広く報じられていませんが、コロナからの日本の経済復興においてぜひ知っておきたい点です。
日本を訪れた香港人観光客の年代・性別

観光庁による2024年の「訪日外国人の消費動向 訪日外国人消費動向調査結果及び分析」によると、観光庁の訪日外国人の消費動向性別構成は女性が51.8%、男性が48.2%と、女性がやや上回る傾向にあります。年代別では、男女ともに30代が最も多く、次いで20代と40代が続いています。つまり、20代〜40代の現役世代だけで全体の約7割を占める、非常にアクティブな市場です。
観光庁の「訪日外国人消費動向調査」によると、香港市場は他の国・地域と比較しても女性の比率が高く、全体の半数以上を女性が占める傾向にあります。特に20代・30代の女性層は、Instagramや小紅書(RED)を通じた情報収集に熱心で、SNSでの「写真映え」や「限定体験」を求めて旅行先を決定する傾向が顕著です。彼女たちの口コミは拡散力が強く、一度ヒットすればトレンドとして定着しやすいのが特徴です。
日本を訪れている香港人観光客の特徴
訪日香港人の最大の特徴は、訪日回数の多さです。来訪者の90.0%がリピーターであり、さらに35.0%は10回以上の訪日経験を持つヘビーユーザーです。そのため、パッケージツアーを利用する人はわずか5.9%に過ぎず、89.9%が自ら宿泊や交通を予約する「個別手配」で訪れています。
また、平均泊数は6.8泊と長く、7日以上の滞在者が半数を超えています。滞在目的の94.7%がレジャーであり、時間に余裕を持って地方へ分散する傾向があります。10回以上のリピーター層にとっては、ゴールデンルートはすでに「既知の場所」であり、まだSNSで話題になっていない隠れた名所や、地方の温泉地、季節ごとの体験活動を常に探し求めています。
日本旅行好きな香港人の中には、一般的な日本人よりも日本全国を巡った経験をもつ人も少なくない程です。
2026年現在は、航空便の復便や地方空港への直行便再開も追い風となり、かつての「ウィズコロナ」という不安を払拭した完全なV字回復を遂げています。特に今年の12月においても、リピーター層による安定した再訪に加え、冬の地方観光やウィンタースポーツを目的とした過去最大規模の訪日ラッシュが予測されます。
訪日香港人観光客の消費動向
コロナ前は日本旅行を日常的に楽しんでいた香港人、自分でホテルや航空券などの交通手段を手配し個人旅行を楽しむ人も多いようです。慣れ親しんだ日本での消費動向について調べてみました。
観光・レジャー目的の香港人観光客の行動
■国籍(出身地)別、都道府県別外国人延べ宿泊者数構成比(上位5都道府県)
(令和6年1月~12月(確定値))

観光庁が2025年に実施した宿泊旅行統計調査によると、香港人が日本旅行で宿泊した都道府県で最も多いのは東京、大阪、福岡の3都道府県です。
香港から地理的に近い福岡は、短期旅行でも効率よく観光できる都市として人気があり、博多ラーメンや屋台文化など食の魅力が高く、グルメ志向の香港人と相性が良い点も強みです。
さらに市内がコンパクトで買い物もしやすく、混雑が比較的少ない点から観光もしやすく、由布院や別府など九州各地への周遊拠点として機能する利便性もあります。
また、年中行事やイベントにちなんで日本を訪れる人も多い傾向です。観光庁の調査によると香港人が訪日の際に体験したことで最も多いのが「日本食を食べる(97.5%)」「ショッピング(89.2%)」「繁華街の街歩き(76.8.0%)」「自然・景勝地観光(71.9%)」。この4項目が他に差をつけてランクインしています。香港では回転寿司や牛丼など多くの日本食店が並び、行列をつくる程の人気です、日本食が非常に好きで事前に日本のグルメ情報をチェックしてから渡航する人が多いようです。
観光・レジャー目的の香港人観光客の消費金額

2024年に日本を訪れた香港人1人あたりの平均支出額は248.882円。その中でも買い物に払った金額が全体の約35.7%と最も多く、次いで宿泊費(29.7%)飲食費(21.6%)という順番です。
購入した品目は菓子類が最も多く71.2%、1人あたり平均 15,062円使用しています。次に衣類が56.2%と高めな傾向にあり、衣類については満足度も高く、日本のファストファッション店で爆買いをする香港人も多くいます。買い物場所に関してはコンビニが83.7%、次いでドラッグストアが73.5%、デパートが68.2%となります。
特に10回以上訪日経験のある香港人の1人あたりの支出額が180,138円と9回目までの金額と比べるとぐっと高くなる傾向。リピーターの経済力の高さが伺えます。なお、免税手続きの実施率は70.7%と高め。いかにお得に商品を購入するかという情報を旅行前にチェックしているようです。
香港ではコロナ禍に量販店やドラッグストアなど多くの日系の店がオープンし行列ができました。このことから、いかに日本の商品が好きかということがわかります。
香港人インバウンド集客を成功させるマーケティング方法

香港人インバウンドの集客を成功させるためには、訪日リピーターが多い香港人の心に訴えかけ印象に残るような情報発信を続けることが重要です。
20代以下の若年層は、SNSで話題の最新スポットや「安くて美味しい」グルメを好む傾向があります。香港人は全年代を通じて「日本通」が多く、年代ごとに求める体験が明確に分かれているため、自社のターゲット層がどの年代に属するのかを正確に把握することが、マーケティング成功の第一歩となります。
今後起こりうる中国政府によるSNSに対する規制にも注意しながら上手にPR活動する事をおすすめします。今回おすすめするのが以下の内容です。
おすすめのインバウンド方法
旅行ブロガーなどのインフルエンサーの起用
日本でも同様の流れですが、香港でも若い人ほどYouTubeやInstagramで行き先を探すようになってきています。視覚的に行きたいところを見つけて、詳しい情報をgoogleで検索をして最終的に行くかどうかを判断します。そのため、インフルエンサーの活用は重要です。
観光庁の調査では上位8位までをネット媒体が占めており、さらに1位、2位ともにSNSがランクインしています。
社会情勢などによっても大きく変化するSNS事情、SNSでインバウンド戦略を進める場合は2つ以上のコンテンツを掛け持ちで運営する事をおすすめします。
日本在住の香港人YouTuberやインスタグラマーも多くいます。活用してみたい場合は当社までお問い合わせください。
SNS・動画サイトの自社公式アカウントの運用

SNSの利用状況について、DataReportalが2025年10月に実施した調査では、香港人の73.5%がFacebook、61.2%がInstagramを使用しています。
近年プライバシー保護のためにFacebookからMeweに切り替える人が増え始めており、Facebookを使用する香港人は減少傾向。Facebookに関しては年齢層が高めの方が多く利用する傾向があります。
業界最大級のインバウンドビジネスメディア訪日ラボによると香港でのインターネット利用者は人口の96.8%にも上り、そのうちの624万人がSNSを利用しています。
その中でもYouTubeは香港における16歳以上のユーザー数が最も多いSNSとなり、80.4%が月に1回以上使用すると回答しています。
亜熱帯気候の香港にははっきりとした四季がないため、日本の四季折々の美しさに憧れを抱く人も多く、自然の美しい映像や画像を交えたアカウントが好まれているようです。また日本ではあまり知られていないWhatsAppやWeChatなどLINEのようなSNSを使用する人も多く、公式アカウントを開設して情報を発信するのも一つの選択肢です。
繁体字の自社ホームページの開設
香港人は日頃繁体字を使用しています。訪日客の集客を目指すのであれば繁体字のHP開設をお勧めします。政治情勢により、香港でも中国で使われている簡体字を多く目にするようになりましたが、簡体字と区別することによって「自分たちを歓迎してくれている」という好印象に繋がります。
また中国政府の規制がSNSに入ることで、折角増やしたフォロワーを無駄にしてしまうという残念な事態も起きないとは限りません。自社ホームページを持つことで、規制がさらに進んだ際の保険としての役割を果たしてくれることでしょう。また、同じく日本好きが多い台湾でも繁体字は使用されています。
若干の違いはありますが、旅行情報などを得る際には香港人も台湾人もお互いが使用する文章を読むことに慣れています。繁体字を使用する事で台湾人の集客にもつながるという一石二鳥の効果があるのです。ただ活字を読むことに疲れを感じている人も多いため、魅力的な写真をふんだんに掲載したホームページを制作することをお勧めします。
Google広告の掲載
現在中国では政府の規制によりGoogleの閲覧、広告の配信はできませんが香港では規制されていないため、多くの香港人はgoogleを使い日本旅行の行き先などを調べています。
Googleは日本でも使われているため、使い慣れない海外のサイトを使って広告投稿するよりも簡単です。また香港人の80%以上が閲覧しているYouTubeへの広告投稿もおすすめで、
YouTubeは、香港人に向けた宣伝媒体として欠かせないものとなっています。香港で多くのユーザーを誇るGoogleですが、2021年に香港政府にユーザー情報を提供していたことが報じられていることから、今現在は安定していますが今後近い未来のユーザー離れの心配もゼロではないということを頭に入れておきましょう。
訪日メディアの活用
観光庁が発表した出発前の旅行情報ランキングによると、ブログやSNS以外に日本政府観光局による訪日ホームページや旅行会社のホームページを参考にしている香港人が多いのがわかります。
特に年配者は政府や企業が運営するサイトに安心感があり、実際の旅行の際に役に立ったという意見も多いです。SNSにあるような写真映えだけに特化したものではなく、実用性のある内容が重宝されているようです。日本旅行が好きな香港人は以下のようなサイトを参考にしています。
香港では子供の頃から日本の漫画やカルチャーに親しんできた人が非常に多く、日本のテレビ番組を日常的に見ているという人も多いです。
月々の契約料を支払うことで日本のテレビ番組を視聴できるサイトや、放送権を購入し日本の番組を放送しているテレビチャンネルもありますが、動画サイトなどにアップロードされた日本のテレビ番組を見ているという香港人が非常に多いのも特徴です(この行為は違法とされていますが香港人の間では日常茶飯事となっているのも現実です)。
このようにして、日本のバラエティ番組や旅行番組からリアルタイムに近い形で日本の情報を手にしているようです。
まとめ
日本と香港それぞれの規制緩和により、多くの香港人がまた日本を訪れることが予想されます。香港の航空券予約サイトではチケットの争奪戦が繰り広げられているようです。現在は航空券の価格高騰により日本旅行を控えている人も多いですが、来年には通常運転に戻るのではという見方もあります。
航空券の価格が高騰している間に訪日する香港人には購買力の高いアッパーミドル以上の旅行客が多い為、コロナ禍に発生した経済損失をうめる大きなチャンスとなるでしょう。海外旅行の正常化に向けて入念な準備とPRが必要とされます。何度来ても素晴らしいと思える日本の魅力を大いに発信し、インバウンド復活を目指しましょう。
ここでご紹介した集客のためのアプローチ方法などは、まだまだ一部です。日本好きで、何度も来てくれる香港人観光客へアプローチを行いたい方は、まずは一度当社までご相談ください。
訪日インバウンドマーケティング支援会社として10年以上の実績があるENJOY JAPANのコンサルタントが貴社の課題にあったご提案をいたします。
この記事を書いた人

変化の早い中国のマーケティング情報を、「早く」「わかりやすく」をモットーに弊社メンバーや専門家などのチームで記事を執筆しています。


