今回は日台を股にかけてビジネスをしていらっしゃるジェリーさんを迎えて、「客観的に台湾から見た日本みたいな形で台湾の観光客からはどういう風に日本が見えているのか?」などいろいろ台湾のことについてお伺いできればと思います。
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【前置き】日常生活で日本と台湾の文化の違いを感じること
ーージェリーさんの奥様は日本人ということで、ぜひお聞きしたいことがあります。日台の夫婦の中で一番文化が違うなと感じる瞬間ってどんな時に思いますか?<インタビュイー:瀧澤 慧(ENJOY JAPAN)>
ジェリーさん:これは私たち夫婦の話ですが「冷蔵庫」の話があります。例えば自分の家の冷蔵庫の中に大好きなプリンがあります。自分が買ったものではないです。食べますか?
ーー許可は取ります。
ジェリーさん:ですよね!それが日本人の特徴なんです。
台湾だと家の冷蔵庫は家族全体のものなので、私が買ったものではなくてもプリンがあったら、奥さんが私のことを考えて買ってくれたと判断して食べてしまうと思います。(笑)
もし食べられてほしくなかったら「食べないでください」とメモを貼っておかないけません。
日本の人にこの話をすると大半の人が「許可を取る」って言うんですよ。台湾人は逆で同じ家に住む家族に対しての「気遣い」というのがないんですよね。そういった家族に対しての気遣いが日本と台湾では違うなと感じますね。
台湾の訪日動向の状況|海外旅行する台湾人の40%が日本に旅行
ーー早速1つ目の質問です。 コロナウイルスの流行が終わり、時間が経過した今、台湾の人々は日本への海外旅行をどのように考えているのでしょうか?
ジェリーさん:2023年のデータからすると、年間約400万人ぐらいの台湾人が日本に遊びに来ています。
台湾から海外に旅行する人の総数は1000万と言われています。海外旅行する台湾人の40%が日本に旅行をしている計算になります。
ーーJNTO(日本政府観光局)が発表したデータを見ても2019年と同程度の台湾の観光客が日本に訪れてきてくれている状況ですよね。
理由としては、円安の影響も一つの理由としてあると思います。日本はもともと環境が良くて食事がおいしいし、今は円安ですごく得感がありますよね。私も2023年は4回くらい日本に来ています。
ーーなるほど、では次の質問です。日本人の奥様がいらっしゃって日本に詳しいジェリーさんから見て「現在の日本の観光に対する取り組み」はどのように見えていますか?
ジェリーさん:コロナ後に日本に入国してから「日本政府がすごく観光に力を入れようとしている」という動きを感じています。
空港に着いた瞬間から日本人の職員さんから「你好(ニーハオ)」と声かけてくれるようになったし、入国審査の手続きも中国語で「こちらへどうぞ!」と案内してくれるようになって、昔は全部日本語で対応されていたんですけど今は頑張ってなるべく中国語で声を掛けてくれるようになりました。外国観光客に親切な対応に力を入れているところからすごく観光に力をいれてるんだなと感じています。
ただ、日本の観光が人気すぎて観光客の増えるスピードに入国審査が追い付いていないんですよね。今回の入国も1時間待ちだったんです……。
あとはアプリとか電車の案内とか、お店に入ると中国語のメニューがあったり、ショッピングモールとかでは中国語の話せるスタッフを用意していたり、中華圏の人に対して頑張ってくれているな!と感じています。
ーージェリーさんは日本語がしゃべれるから問題ないかもしれませんが、中国語を話せるスタッフさんであったり、中国語のPOPだとか看板があると気持ち的には「歓迎されている」と思うものなんですか?
ジェリーさん:そうですね!あとは安心しますので落ち着きますよね。全部カタカナとかだとわからなくなっちゃいますからね。
ーーそういった目に見えない部分ではありますが、安心できる環境を整えておくことは、まず台湾の観光客にとって第一に安心してもらえるというすごい大事なことですよね。
観光客に対して取り組んでほしいこと|高速道路の料金所
ーーでは逆に今日本の観光客の方に対して足りていないことや、もっとこうしたらいいのになと感じていることは何かありますか?
ジェリーさん:台湾の人は近年、東京・大阪ではなくて地方の観光に行く人が増えています。
そして、家族旅行で日本の地方に観光に行くときにレンタカーを借りて観光する人が増えています。その際に高速を使うんですけど料金所が嫌いですね。台湾はもう数年前から高速道路の料金所がないんです。※1
日本ではETCがあるけど、ちょっとスピードを落とす必要がありますよね。ETCがない有料道路などは一旦止めて機械にお金を払わないといけない。そういうときに「どうしよう!?」なんて焦ってしまうことがよくありますね。技術的には料金所を無くすことは難しくないと思うんですけどね。
台湾の高速道路ではeTagおよびETCガントリーの普及に伴い、停車・減速の必要がなくなり、2014年より料金所が全廃された
ーー今って観光客の人が高速道路に行くとなるとETCは登録して使えるんですか?
使えます。※2 ただ、ETCがあっても料金所があるから緊張してしまう観光客は少なくはないと思います。土地勘もないのでカーナビも見なくてはいけません。やはり料金所はない方が「スムーズに通れるのでは?」なんて思いますね。
海外の観光客はETCカードを持っていない方がほとんどですから、料金所で小銭を出して払わないといけなかったり、クレジットカード使える所と使えない所があったり、係員がいるところいない所があったりでやっぱり緊張しちゃいますね。
車があったほうがいろんなところに行けますのでもうちょっと観光客に対して高速道路の対応も考えてくれたらいいなって思いますね。そうすればたくさんの観光客が地方に赴くと思うんですよね。
外国籍の人でもクレジットカードを持っていればETCカードの発行は可能。またレンタカー会社でもETCカード/車載機をセットでレンタルできるプランを用意している所がある。
ーー鉄道とかだと外国人の方に対する対応とか積極的に呼び込もうといろいろな対策をされていますけど、高速道路は確かにまだ取り組みとしては遅いというかまだ手を付けられていないですよね。
台湾の人はどのように日本の観光情報収集しているのか?|複数のSNSを利用
ーー台湾の多くの人たちが日本に何回も訪れていて日本に詳しい方もたくさんいらっしゃると思うんですけど、例えば日本で行ったことのないような観光客があまり知られていない地域に出かける際、事前に情報を収集すると思うんですが、日本の情報を収集する際どのようなメディアを使って情報収集してるんですかね?
ほぼSNSを利用していますよね。私の周りではみんなやっぱりまずは YouTubeで検索してますよね。YouTuberたちが日本のどんな所に遊びに行ってるのかなど見てます。さらに詳細の情報を取りに行くためにインスタで雰囲気を再確認している人が多いと思います。最近はインスタのリール動画が流行っていますのでそちらで確認したりもします。
YouTube動画で楽しそうな場所を見つけて、本当に楽しいのかインスタ(Instagram)でいろんな人の情報を見て決めるという人が多いかもしれません。
もちろん他にもFacebookやTikTokなんかもありますよね。
私の印象だとFacebookは商業っぽい投稿が多いですよね。リンクが付けられるので「このツアー、こんなキャンペーンやってるみたいですよ!」なんて情報をシェアするときなんかにみんなFacebookを使っていますよね。あとFacebookは観光のことを検索していれば関連する広告が表示されるのでそこで安いツアーなんかを探したりもしますね。
一方、おしゃれな写真の投稿をしたいってときはやっぱりインスタ使います。
同じSNSでも用途によって棲み分けはされていますね。
- YouTube
YouTuberから広く情報を集める - Instagram
本当に楽しいのか細かい情報を収集する - Facebook
キャンペーンなどの“耳より情報”のリンクや関連広告からアイミツを取る
台湾の人が求めている日本の製品|原点回帰
ーーでは次の質問です。今台湾の人たちが求めている日本の製品ってなんですかね?
私の感覚ですが、今の為替の状況から日本に戻っている日本企業も増えています。そういったことからこれからメインドインジャパンの製品が増えてくると考えています。
私は1980年代の生まれなので昔は日本製品を持っているだけでも自慢ができるような時代でした。例えばアニメグッズとかも人気でしたし、簡単なプラスチック製品であっても制度が高いんですよね。ちゃんと金型から作っていて日本製っていうだけでも紙でも違いが分かるくらい高級感がありますよね。そういった日本製品の原点回帰が求められているんじゃないかなと考えています。
ーー今でも日本製品だから質が良い、安心っていう話はまだまだありますか?
まだまだありますよ!台湾は日本の商業施設が多いですからね。アトレもあるし、ドン・キホーテ、マツモトキヨシ、最近ではスーパーのロピアなんか人気ですよ。ららぽーとも今たくさん建設されてますね。
あと日本全国のラーメンが食べたければ、台湾に来た方が良い!って勧めたくなるくらいおいしいラーメン屋さんが台北(タイペイ)に集まってます。ぜひラーメン好きの方は遊びに来てください。
ーー日本に旅行にいかなくても日本を味わうことができてしまうんですね……。
でも、本場のラーメンが食べたいって気持ちがあってみなさん日本に行きますよ。ラーメンにしろお寿司にしろ日本に行って食べることで雰囲気と一緒に食べることでぜんぜん違いますからね。日本の食は種類豊富ですよね。肉から魚まで、ラーメンから蕎麦まで、同じ寿司であって店によって味が全然違いますし、、、何回でも日本に遊びに行きます!
まとめ
いかがでしたでしょうか?ビジネスの話というよりかは普段なかなか聞けない一観光客としての目線での考え方や感じることを聞けましたのでとても参考になったと思います。普段ジェリーさんは台湾に住んでいらっしゃいますがぜひ日本にもちょくちょく遊びに来てください!
ジェリーさん:ぜひ台湾にも遊びに来てください!日台交流日台友好しましょう!
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この記事の登場者
ジェリーさん
今回は台湾で日台の貿易ビジネスを手掛けるJerryさんをお招きして、「台湾人からみた日本観光」をテーマにして色々とお話をお伺いしました。台湾人観光客の生の声を聴かせていただきました。
一貫して営業畑を歩み、前職の広告代理店でインバウンド事業部を立ち上げ目標売上300%を達成し、その実績を買われ2016年にENJOY JAPANに参画。クライアントはドラッグストアとメーカーが多く、徹底してクライアントの売上向上に尽力してきた結果、一度担当したクライアントは必ずと言っていいほどリピートしていく。