上海は中国の一線都市であり、国際的な都市として世界で知られています。
金融機関など世界中の企業が集まるビジネス都市となっているため、上海以外の地域で暮らす多くの若者たちは上海での暮らしに憧れを持ちます。大学卒業後には上海で仕事が出来るように早くから大学受験や入社試験に向けて物凄い努力を注ぎ込みます。
そんな上海には多数のビジネスウーマン・OLが住んでいます。上海のOLたちは、お金を良く使うことで有名で「月光族」とも呼ばれています。

今回は、そんな羽振りの良い「上海で暮らしているOL」にフォーカスし支出・出費事情を考察してみました。「どういった日常生活(暮らし)を過ごしているのか」既婚OLと未婚OLに分けてご紹介します。中国マーケティングのペルソナ設定をされる際の参考材料の1つになればと思います。

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未婚の上海OLの日常生活

上海の平均初婚年齢は29歳と、年々上がってきているので一概には言えませんが、未婚OLたちの多くは90年代生まれの若者たちに当たります。上海でOLとして働く若者たちの平均月収は約1万元(約16万円)で、無駄遣いをしなければ不自由のない生活が出来るレベルにあります。

主な支出

主な支出は、

  • 家賃
  • 食費
  • スマホ代
  • 交際費
  • コスメ
  • 洋服

などになります。その中で最も費用がかかるのは家賃代です。

家賃代

上海の住宅金額は非常に高く、単身世帯用のマンションの家賃が大体月3,500元~1万元になります。
しかし、平均月収が1万元なので、実際の手取りから家賃代を引くと、余裕のある生活とは言えない状況です。そのため、上海以外の地域から移ってきた人たちはほとんどが友人などと共同で暮らしています。上海で生まれ育った人たちは、社会人となっても多くが実家で生活をします。

スマホ代

次にスマホ代ですが、日本ではスマホ本体料金を分割支払いで購入し、月額利用料と合わせて支払うことが一般的ですが、中国では、

スマホ本体は単体商品として売られていて、一括で購入してから、電信会社でSIMカードを作り、利用契約を結ぶという流れ

になります。毎月のスマホ利用料金は、個人の使い方にもよりますが、だいたい200~300元になります。
そして、スマホ本体に関しては、貯金したお金で買うか、親、もしくは恋人からプレゼントでもらいます。

日本のように高いスマホ代を分割で購入することが出来ないため、W11や618等のビックセールの時を狙って、スマホを買う人が多くいます。
その結果、毎年W11や618の売れ筋カテゴリーの中に、スマホが必ずランクインします。

休日やプライベートの過ごし方

90年代生まれの若者は刺激を求める傾向にあり、休日や仕事終わりに友達と遊びに出かけるのも日常茶飯事です。
近年、中国では「网红打卡地」というネット上で話題になっているレストラン、カラオケ、カフェ等の娯楽施設が次から次へと登場しています。

これらの施設が話題になった理由は、内装や商品、全てが女心を掴んでいたことが理由です。
ピンクや可愛いものに囲まれるカフェ、イケメンしかいない火鍋屋さん、ウェディングドレスを着てお茶が出来るレストラン等、女子なら誰もが一度は行ってみたい店が次々に出来ています。

※【外部リンク】「网红打卡地」、中国で人気なスポットをご紹介します。|中国トレンド研究所@橋本|note

特に魅力的なポイントは、写真を撮るスペースや小道具が揃えられていることです。OLや学生、女性は写真を撮ってSNSに上げるのが大好きなので、それを狙った戦略になります。
こういった店に行くと、平均で一人あたり200元がかかります。また、最近若者の間では「密室逃脱」というリアル脱出ゲームが流行っていて、各町には必ず1か所はあります。その金額も場所によって異なりますが、だいたい150元~200元/人になります。

情報収集

コスメと洋服に関して多くのOLたちは中国のSNSプラットフォーム、

  • 小紅書
  • TikTok

などを使って、何か良い商品や新しい情報がないかを日々調べています。特にコスメに関して小紅書の口コミなどを頻繁に見ており、

自分の使用した感想と他人の意見を交換する場

として利用されています。

おしゃれ・ファッション

洋服に関しては、ライブコマースが好まれています。写真では判断できないため、ライブコマースでKOL(中国のインフルエンサー)が実際に着て紹介するので、サイズ間違いやイメージと違ったなどのリスクを防ぐことができるからです。コスメや洋服に使う金額は人それぞれですが、人によっては毎月の給料では足りなくなり、

アリババ傘下のクレジットサービス「花呗(ファーベイ)」というアリババの消費者金融サービス

などを使用して購入数するOLも多くいます。未婚のOLたちは、家賃や交際費、コスメ、洋服などにお金を使い果たす印象が根付いており、中国では「月光族」なんて呼ばれていたりもします。

既婚OLの日常生活

OL 女性の写真

既婚OLたちは、未婚者のように自分のために好き勝手お金を使えません。

住宅ローン

中国の社会風習では、結婚する際には男性側が住宅を購入しなければなりません。上海の住宅はとても高価で、都市から少し離れていて中古で間取りが狭い家でも200万元を超えます。
また、中国では住宅を購入する時に、住宅料金の30%を頭金として先に払う必要があります。住宅の料金が高くなるほど頭金も高くなるため、それを90年代生まれの男性が自分だけで支払うのはとても難しい話になります。

そのため、多くは男性側の親が頭金を支払い、残りのローンを夫婦で返済する形で結婚します。

住宅ローンは購入した住宅の金額によりますが、多い家庭では月1万元を返済しています。

子供の養育費

ローン以外には、子供の教育費なども多くかかってきます。
中国の親は、子供の教育に相当な力を入れる傾向にあり、幼稚園から毎月8,000元もかかる英会話教室に通わせたり、私立小学校に入れたり、子供が大学に入るまでの様々な塾、学習教材を購入して子供に勉強させています。
中国の学校では授業のレベルが非常に高く、塾なしでは追い付かないほど勉強が進んでいます。

そのため、ほとんどの家庭は子供を塾に行かせています。

塾は企業が運営しているものもあれば、学校の先生が学校には秘密で放課後に行うケースもあります。
企業が運営する塾は毎月数千元がかかりますが、学校の先生が行っている塾は平均200元~300元/回になります。

そんな背景から、中国の教育業界(塾や習い事)は長年好調が続いており、様々な企業が参入をしています。

それだけ子供にお金を使うと、当然生活は苦しくなり、夫婦は共働きをしなければなりません。子供の世話を両親にお願いしたり、資金の援助してもらう家庭も数多く存在しています。

おしゃれ・ファッション

また、これまでW11や618の時に、自分のためにコスメや洋服を買ったり、暇な時はSNSをチェックして、買いたい物をピックアップしたりしていたOLたちは、結婚をすれば、日常生活品や子供用品にお金を使うようになります。時間に余裕があれば、SNSで子供用品を調べたりする人もいますが、多くの場合は、それほど時間に余裕がないので、仕事から帰ってきたら、夕飯の支度や子供に勉強を教えたりなどに時間を使います。

もちろん、余裕のある家庭では、結婚をしていても自分のためにコスメや洋服を買ったり、SNSをチェックしておしゃれをしたりしています。その場合は、夫の稼ぎがよく、妻は専業主婦であることが多いのです。

こうして、結婚すると自分に使う時間やお金がなくなると考えるOLが多く、その結果、中国、とくに上海では晩婚化が進んでいます。


この記事を書いた人

橋本-易珊(Hashimoto-Yishan)

橋本 易珊(Hashimoto yishan)

日中のハーフで、13歳まで上海で育つ。新卒で日系企業に入社し、上海支社で勤務。日本に帰国するタイミングでENJOY JAPANに参画。中国の美容系情報に強く、常に流行と最新の情報をベースとした提案を 得意とする。彼女が運用するnoteアカウントも大好評運用中。

Noteアカウント:中国トレンド研究所@橋本

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