中国向けのマーケティングをご担当されている皆様にとって、SNSプラットフォームの主戦場は、現在は小紅書(RED)と抖音(Douyin)が中心となっていることと思いますが、この2つのプラットフォームでのインフルエンサー(特にライブコマースのKOL)の動きについて、中国のデータ分析会社による興味深い記事がありました。

プロモーション戦略を考えていくにあたり参考になると思いますので、翻訳したものを紹介させていただきます。

以下原稿は下記記事を参照。
微信公众号“卡思数据”(ID:caasdata6

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インフルエンサー達は小紅書(RED)の投稿で消費者の購買意欲をかき立て、抖音(Douyin)でお金を稼ぐ

小紅書の最大の価値はECではなく、コミュニティである。

小紅書(RED)のインフルエンサーたちはどこでお金を稼いでいるのでしょうか?その答えの一つは抖音(Douyin)です。

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以前から周知の通り、小紅書はアプリ内でSNSとECが完結するビジネスモデルを構築するために様々な努力を行っていますが、現時点でも上手くいっていると言える状況には至っていません。

卡思数据(SNSデータ分析プラットフォーム)によると、現在、多くのインフルエンサーは小紅書でコンテンツをつくり、ファンの購買意欲を掻き立てながら、抖音(Douyin)で個人店舗を開設したり、ライブコマースを配信したりして、トラフィックを収益化する方法を模索しています。
彼らはなぜ「小紅書でコンテンツを発信して、Douyinでお金を稼ぐ」という道を選んだのでしょうか?小紅書の「Eコマース事業を成功させる」という目標は実現できるのでしょうか?

インフルエンサー達はなぜ「小紅書でコンテンツを発信して抖音でお金を稼ぐ」という道を選んだのか

2020年10月21日、李佳琦(オースティン)の初代アシスタントを担当した付鵬が小紅書でライブコマースを配信し、ソロデビューを果たしました。

第三者プラットフォームから公開されたデータによると、その夜、付鵬氏のライブ配信はピーク時の人気度(PV数と活躍指数)が2.32億に達し、平均視聴者数は10.62万人を超えました。
4時間37分49秒のライブ配信で、38点の商品をおよそ863万元(約1億7260万円)を売り上げる結果となりました。

その後、しばらくの間、付鵬は小紅書でライバーとして活躍していました。W11期間中、彼は一回のライブコマースで売上高が2,000万元を超え、当時の小紅書ライブ配信による売上高の最高記録を更新しました。
とはいえ、これぐらいの売上だけでは、簡単に何億元も売り上げる人気ライバーとは比べものになりません。

さらにその後は、小紅書のライブコマース事業の成長が鈍化し、彼の売上も激減していきました。
結果として、彼は2021年1月に小紅書からDouyinに事業の重心を移し、現在もDouyinでライブコマースを続けています。

付鵬だけではなく、小紅書と関係の深い楊天真も同様です。
卡思数据のデータによると、彼女は事業の重心を抖音(Douyin)に移す以前、小紅書で一回のライブでの流通取引総額(GMV)はわずか20万元でした。
TOPクラスの人気KOLでさえ小紅書でのライブコマースの売上はこの程度なので、小紅書の素人ライバー達の場合は目も当てられない状況です。

小紅書とDouyinで得られるトラフィックの差の問題に直面しながら、さらに小紅書が強化する広告投稿の様々な制限を受け、小紅書のKOLたちは他に生計を立てる道を探さなければならなくなりました。
小紅書で「親子教育」、「心理学」などのコンテンツを発信している@北大姐妹花というKOLは、最近急速にフォロワーが増加しています。現時点でのフォロワーはすでに53.2万人を超えていますが、彼女のアカウント名の末尾には、「朝6時Douyinでライブ配信」と書かれています。

北大姐妹花の小紅書と抖音のトップページ

彼女のライブ配信は主にファンと話し合う形式で、ファンの親子問題を解決しながら、彼女自身の心理学コースを商品として販売しています。過去1か月間、彼女はDouyinで52回のライブ配信を行い、約915.2万元(約1億8千万円)を売り上げたそうです。

インフルエンサー達は小紅書に対して不満を感じ始めている?

小紅書とDouyinのライブ配信から得られるトラフィックの差、システムの差、収益力の差などを考えると、ライブコマースを主な収益源とするクリエイターの多くが小紅書を主要なライブ配信プラットフォームとして選ばないのも当然のことと言えます。

それだけではなく、以前から小紅書で种草笔记(購買欲をそそるようなコンテンツ)を投稿しているインフルエンサーたちも、Douyinに移行する傾向が一部でみられます。これは、昨年小紅書が外部ECプラットフォームへの商品リンクを遮断したことによる影響ではないかと推測されています。
小紅書はユーザーの「購買意欲を刺激する」コミュニティとして機能しており、投稿の多くは閲覧者の購買意欲を掻き立てることを目的とした内容です。フォロワーたちはKOLが投稿している記事を見て、ついそこに貼られているリンクを辿って衝動買いしてしまいます。しかし、外部リンクが遮断されたのにもかかわらず、小紅書のEC機能が未熟なため衝動買いにも繋がりにくくなりました。

そのため、収益化のことを考えると、KOLたちは各SNSプラットフォームに投入する時間と労力を再考しなければならなくなりました。
さらに、KOLがおすすめのアイテムを紹介した記事を投稿すると、そのおすすめした商品のリンクを記事に貼っていないKOLに対して読者達から不満の声が向けられることもあります。
その不満に対してそのままにしておくと、読者のKOLに対する好感度が低くなってしまい、フォロワーの獲得と維持に悪影響を及ぼします。

小紅書の投稿へのコメント(イメージ)

それが原因で、自分のアカウント名、自己紹介欄、コメント欄にDouyinなど他のSNSでの自分のアカウント名を記載するKOLが増えています。
また、卡思数据によると、一部の小紅書のKOLは、他のSNSプラットフォームでのフォロワー数がすでに小紅書のフォロワー数を大きく上回り始めているようです。
小紅書で集めたフォロワーを、他のSNSに誘導してそこで収益化を図っています。

小紅書の「Eコマースを成功させる」という野望は実現できるのか?

実はクリエイターと同様に、小紅書も以前から「eコマース事業を成功させる」という夢を追いかけています。最近発表された一連の取り組みからも、EC市場への野望が読み取れます。
昨年6月、小紅書が運営している直営店「福利社」の販売促進のために、新機能「小清单(ショッピングリスト)」をリリースし、クリエイターにフォロワーを福利社へ誘導するよう促しています。
翌7月には、アカウント・店舗一体化施策を発表し、個人クリエイターは無条件に「专业号(プロアカウント)」を申請することができ、個人店舗が開設できるようになりました。
今年1月、小紅書は「自宅で店を開く」キャンペーンを開始し、記事のトラフィック、開店までの流れ、出店者への教育など様々な面からクリエイターをサポートしています。

データによると、小紅書2020年通年のECのGMVは約10億ドル、ECからの収益は総収益の15~20%を占めています。
2021年の財務データはまだ発表されていませんが、クリエイターたちの動きから見ると、上記の施策は成功したとは断言できません。

しかし、小紅書は今の段階でECに全力を注ぐ必要があるのでしょうか?
周知のように、EC事業にとってライブコマースの重要性がどの形式のコンテンツよりもはるかに高く、小紅書はアプリ内のECの収益性を改善したいのであれば、ライブコマースの改善に力を入れるべきでしょう。
ただし、小紅書では以前からテキスト+静止画で投稿されるコンテンツが多く、ユーザーたちもこのような形のコンテンツに慣れているため、動画を共有できる機能を実装するときでさえ一部のユーザーからの不満を引き起こしました。

もし、ライブ配信に力を入れすぎると、ユーザー離れを起こす可能性もなくはありません。なので、ライブ配信の促進も時間をかけて慎重に実施する必要があります。
また、売上の増加はEC事業における最終目標なので、ユーザーに自社ECで商品を買ってもらうには、自社で購入するときにしか得られないメリットを提示しなければなりません。例えば、タオバオが「品物の種類が多い」、京東が「配達が速い」、拼多多が「商品の価格が安い」ことが強みだとすると、小紅書はユーザーにどんなメリットを提供できるのだろうか?

小紅書の最大の価値はECではなく、コミュニティにある。

中国のインターネットトラフィックの増加がピークに達するにつれ、トラフィックを巡る争いは激化しており、中国市場では様々なネットサービスやアプリが続々と登場しています。
このような状況下で、プラットフォームにとっても、クリエイターにとっても、新たなユーザーやフォロワーを獲得するためのコストは高くなり、困難になりました。

しかし、小紅書は中国最大級の口コミアプリとして、人気商品や人気ブランド(ブランド知名度向上)をつくりあげる能力を持っていることは過去の事例からも証明されています。
それゆえに、多くの企業やクリエイターから注目を集めています。
それ以外にも、「優れたコミュニティの雰囲気」「活発なユーザー同士のコミュニケーション」、「有意義なコメントが多い」といったところは小紅書の強みになっており、ほかのSNSプラットフォームと比べて一線を画す独自の優位性を持っています。

クリエイターにとっても、小紅書の方は好意的なフィードバックが多く、フォロワーから今後のコンテンツを生み出す原動力と安心感が得られます。

したがって、

物理的な要因から見ても、心理的な要因から見ても、クリエイターたちはDouyinのために小紅書を手放すことは考えにくく、小紅書は依然として、クリエイターたちにとってコンテンツを発信する重要なポジションです。

一方、「ECを成功させる」という夢を一生懸命追いかけている小紅書にとって、いかにEC機能とコミュニティのバランスを整えるのかは、まだ先の長い話となるでしょう。

まとめ

以上、中国国内でもマーケッターの間で注目されている記事のご紹介でした。
抖音のECが目を見張る速度で成長している一方、あれだけ厳しく外部へのリンクや、記事内やコメント欄ですら外部のプラットフォームへの言及に厳しく制限をかけて自社ECに目を向けさせようとしている小紅書のECはうまく言っているとは言えません。

我々マーケッターは、移り変わりの早く、競争の激しいプラットフォーム間の争いで、成長しているところ、勝っているところの流れに上手く乗り続けていく必要があります。

当社でも抖音(Douyin)でのECと、小紅書(RED)でのコミュニティ作りを合わせて売上を立てていく成功事例も多く出てきておりますので、興味がある方は一度お問い合わせください。


この記事を書いた人

ENJOY JAPAN 編集部

変化の早い中国のマーケティング情報を、「早く」「わかりやすく」をモットーに弊社メンバーや専門家などのチームで記事を執筆しています。

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