中国向けの越境ECの販促やインバウンドのプロモーションには欠かせなくなったSNS。多くの企業が様々な方法でSNSマーケティングを活用しています。しかし、SNSプラットフォームは多種多様に施策が存在し、なかなかうまく活用できていない企業が多いのではないでしょうか?中国のトレンドは変化しやすく、半年前の情報がすでに古くなっていることは日常茶飯事で、適切なSNSを活用しいち早く中国のトレンドを把握して実施することがプロモーションを成功させるカギとなります。

今回は、中国SNSマーケティングにおいて押さえておくべき中国SNSのご紹介と実際の活用事例をご紹介します。

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人気の中国SNSの種類

中国のSNSプラットフォームは多数存在します。それぞれの利用者数も世界規模でみても圧倒的な利用者数を誇ります。ビジネスで活用していくにも多数存在するSNSからどのSNSを利用すればいいのか?お悩みのご担当者様も少なくはないと思います。まず初めに下記に中国で人気のあるSNSを5つ紹介します。

小紅書(Red:レッド)

小紅書

小紅書(Red:レッド)は、2013年に毛文超と瞿芳によって設立された行吟信息科技有限公司という会社が手掛けるアプリです。

2021年2月時点では、アプリの登録ユーザー数3億人、月間アクティブユーザー数1.3億人、デイリーアクティブユーザー数4500万人以上となり、中国人女性で知らない人はいないと言われる超有名アプリです。

わかりやすく例えると、規模の小さいAmazonのようなEC機能を備えた中国版Instagramというとイメージがつきやすいかと思います。日本企業の活用例としては、公式アカウントの情報発信やEC・ライブコマースなどの配信投稿が多くみられます。小紅書(RED)の詳しい解説は以下のコラムをご確認ください。

微博(Weibo:ウェイボー)

weibo

微博(Weibo:ウェイボー)は、中国版「Twitter」として親しまれているSNSプラットフォームです。

全世界で8億人以上のユーザーを抱えている巨大SNSプラットフォームで、月間アクティブユーザー(MAU)は2億人以上とされています。ミニブログの投稿を中心とした中国最大のSNSと言われております。日本で言うTwitterと同じように、中国での流入や情報収集に欠かせないプラットフォームです。

日本企業の活用例としては、中国人への商品サービスのPRなどの情報発信、中国人の消費動向調査などに役立つSNSとなっています。

微信(WeChat:ウィチャット)

微信

中国大手企業テンセント社のSNSアプリです。メッセンジャーアプリで中国版「LINE」とも言われています。

月間アクティブユーザー(MAU)は11億2,000万人(2015年発表)とされ中国で最も利用されているメッセンジャーアプリです。LINEのようなチャット機能だけでなく、オンライン・オフラインでの決済、ショッピング、チケットの予約、タクシーなその配車、最近ではオンライン診療なども対応し、生活に関係するあらゆるサービスをアプリ内で完結する事が出来る中国で生活する人々にとって欠かせないプラットフォームとして大勢のユーザーに利用されています。

日本企業の活用例は、公式アカウントからの情報発信やECのクーポンを利用した商品・サービスPRなどが多くみられます。

抖音 (Douyin:ドウイン)

抖音ロゴ

中国のバイトダンス社の日本でも国際版であるTikTok(ティックトック)でおなじみショート動画アプリです。

1日あたりの動画閲覧数は200億回、1日あたりのアクティブユーザーは約6億人と世界中で人気のアプリです。

日本企業の活用例は、公式アカウントからの情報発信やECやライブコマース配信などが多くみられます。抖音(Douyin)の詳しい解説は以下のコラムをご確認ください。

知乎(Zhihu:ジーフー)

知乎

知乎は2011年にサービスが開始されたQ&Aプラットフォームで、中国ではQ&Aアプリとして頂点に立っているアプリです。

年間アクセス数は30億回、質問件数4400万件、総回答数は2.4億件に上ります。(2020年末時点)毎月課金をしているユーザー数は約250万人とされています。

日本企業の活用例は、中国最大のQ&Aサイトであり毎日、多くの悩みが日々投稿されています。企業アカウントから、いかに自社の商品が悩み解決の手伝いができるかを回答することでユーザーに魅力を知ってもらうことができます。知乎(Zhihu)についての詳しい解説は以下のコラムをご確認ください。

中国SNSを利用したマーケティング・メリット

中国SNSのメリットはそれぞれのSNSよって特徴や最適な活用方法は異なります。自社サービスに最適なSNSを選定し、それぞれのSNSの特徴を生かして運用を行うことで効果的に集客を行うことができます。

中国主要SNSのデータをまとめた資料が無料でご覧いただけます。中国SNS運用をご検討のご担当者様はぜひご活用ください。

中国SNSを利用したマーケティングで注意したいこと

中国のインターネット規制に注意する

もちろん運用する際に注意すべきこともあります。まず、中国SNSマーケティングを計画する際に最も注意しなくてはいけないことは「中国のインターネット規制」です。

中国全土のインターネットは独自の防壁機能、通称「グレート・ファイアウォール」と呼ばれる大規模なネット検閲システムによって管理されています。この制度により、インターネット規制により閲覧や通信が一定の制限を受けます。主に、この防壁は中国政府が不都合と考える情報の制御や、国内のIT市場の保護を目指しています。逆を言えば中国のインターネット規制の理解が深まれば、より効果的なSNSマーケティングが行えるようになります。

外部リンクができない

中国のSNSは、基本的に外部へのリンクを貼ることができません。

日本でのSNSマーケティングに慣れている方は、インフルエンサーや自社アカウントから、 LPやECサイトの商品ページへのリンクをさせようとすると思いますが、中国の場合は外部へのリンクが出来ません。 なので、どのように目的のところへ誘導するのか、日本国内とは全く違う考え方で設計する必要があります。

中国のSNSを活用してマーケティングを実施したくとも中国のインターネット規制の知見がなく困っているという場合は専門家に相談しましょう。そのような場合、ぜひ一度弊社にご相談ください。

中国のSNSを活用してマーケティングを実施したくとも中国のインターネット規制の知見がなく困っているという場合は専門家に相談しましょう。そのような場合、ぜひ一度弊社にご相談ください。

各SNSのアルゴリズムや運用ルールを理解する

5年程前は、商品の特徴や性能を細かく紹介する投稿が人気を集めていましたが、最近は、長文コンテンツが読まれなくなっている傾向があります。

また、小紅書は広告が多すぎるとバッシングを受けたことをきっかけに、ステルスマーケティングへの対策を強化しています。広告色の強い投稿は、トラフィックが制限されてしまうペナルティを受けるリスクがあります。

対策方法は以下の記事で紹介する小紅書の公式プラットフォーム「蒲公英(たんぽぽ)」を活用する方法があります。

中国SNSマーケティング成功のポイント

前段を踏まえ、中国SNSを活用したマーケティングで成功するためのポイントをまとめます。まずは、下記3つの事項を押さえることがとても重要になります。

  1. 各中国SNSの特徴や利用ユーザーの特性を理解し有益な情報やトレンド情報を投稿する
  2. ユーザーにとって権威性のあるKOLやKOC(インフルエンサー)を活用する

KOL(インフルエンサー)の選定について

上記は小紅書で中国KOLと在日KOLが投稿している例となります。 多くの日本企業は、自社の商品を宣伝するために在日のKOL(インフルエンサー)を活用するのが適切だと考えているかもしれません。しかし、より効果的なアプローチは、中国の消費者が自らフォローしたいと考えるKOLを選ぶことです。

実際に下記の記事在日中国人KOLの特徴をご紹介している記事になります。

「肌の悩み」「ファンデーションの選び方」「口紅の色の選び方」など女性の悩みを解決するような投稿を在日の中国人女性が発信し多数のエンゲージメントを獲得しています。

事前に、マーケティングを行う商品がどのKOLと相性が良いのか、集客したいユーザーにとって権威性のあるKOLは誰なのか調査しておく必要があります。

中国SNS投稿手法と意識したいポイント

中国SNSマーケティングで重要な投稿手法は大きく分けて下記の4つの投稿手法があります。

  • ノウハウ投稿
  • まとめ記事の投稿
  • ネガティブレビュー投稿
  • 質問投稿
  • 私物品の投稿

【補足】MADE in JAPANを強調したブランディングは弱まりつつある

また、近年は中国国内で製造される商品の質が向上し、日本の商品だから購入したいという風潮が弱まっています。あえて「日本製である」ということを全面に押し出すよりも権威性のあるKOLによって切実に悩みの解決に結びつく投稿を行うことが重要となります。

中国SNSマーケティングで効果的な投稿事例

しかし、どのような投稿やトレンド情報を配信したら良いか?どんなKOLやKOCを起用したら良いのか?イメージが付かない方も多いと思います。以下より、中国人気SNSの一つ「小紅書」にて、実際にKOLやKOCを起用し、投稿を行った際の事例を紹介します。

事例から学べる事
  • KOLやKOC(インフルエンサー)を起用した投稿
  • メイクアップ、スキンケア、生活用品の事例
  • 上記記載の商品以外でもある程度共通して活用することができる

ノウハウ投稿

ノウハウ投稿を行う際は以下のポイントを押さえておきましょう。

  • ユーザーのためになるテクニックやノウハウを伝える投稿をする。
  • 各SNSのアルゴリズムはルールを理解した上で適切な投稿をする

ノウハウ投稿 事例|化粧品

化粧品の投稿では、商品紹介よりもメイクのテクニックやノウハウの提示がエンゲージメントを増やします。特に、小紅書のユーザーの80%以上は女性で、彼女たちはメイクテクニックを学び、試してみたいと考えます。従って、メイクのレクチャーのような実用的な投稿が好まれます。

また、上記の写真は典型的なメイクハウハウ系の投稿例です。テキスト部分の投稿タイトルは、紹介するメイクのタイプが分かるように「新年转运妆(新年運が変わるメイク)」と記載しています。メイクアップの手順を紹介し、商品の写真を載せています。さらに画像に商品のロゴがわかるようにすることでブランドの認知に繋げます。※小紅書のアルゴリズムによるトラフィック制限を回避するためにブランド名の記載をしていません。

まとめ記事の投稿

まとめ記事の投稿を行う際は以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 極力短くまとめる。
  • 競合にならない他カテゴリの商品と合わせて紹介する。

まとめ投稿 事例|化粧品

実際にエンゲージメントの高いまとめ記事の投稿をみてみましょう。上記はスキンケア系の商品を紹介している投稿です。一つの投稿で複数の商品を紹介しています。関連性のある複数の商品をピックアップして投稿することで、広告としての色彩が少なく、自然な形で様々なブランドを紹介できます。KOL側としてもがこの手法を好む傾向があります。

ネガティブレビュー投稿

ネガティブレビュー投稿を行う際は以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 商品を検討しているユーザーに読まれやすく、高いエンゲージメントの獲得に結び付いている傾向がある。

ネガティブレビュー投稿 事例|スキンケア商品

スキンケア商品は効果をすぐに体験することが難しい商品です。ユーザーは良い情報だけでなく、ネガティブな情報も検索しています。権威性のあるKOLを活用する場合、良い情報もネガティブな情報も本音でレビューしてもらうことでよりエンゲージメントを獲得することができます。

質問投稿

質問投稿を行う際は以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 投稿を仰ぐことで多数のコメントを集めることができる。

質問投稿 事例|スキンケア商品

上記は投稿を見ているユーザーにKOLが質問をしている投稿です。投稿タイトルや画像に「今まで使ったスキンケアの中で一番よかったものを教えてください」と記載しています。寄せられたコメント数はなんと3,028件もあり、ユーザーたちは自分の体験談やおすすめの商品をコメントしています。こういったユーザーの口コミを集めることができ、よりリアルな情報をたくさんのユーザーに伝えることができます。

私物品の投稿

私物品の投稿を行う際は以下のポイントを押さえておきましょう。写真はなるべく高画質で可愛く見せるなどの撮影テクニックを意識する ブランド名を記載せず、どんな商品なのかが分かるように通称名などのタグをつける

私物品の投稿 事例|生活用品

カバンの中を紹介する投稿は小紅書の人気のある投稿の1つです。他人の生活や持ち物に対して興味を持つユーザーが多く存在します。私物品を紹介する投稿は広告っぽさがなく、複数の商品の魅力を伝えることができます。

この投稿はタイトルに「翻包记(カバンの中身紹介」と記載しています。1枚目は、カバンの中身が分かるように全体を撮影し、2枚目以後は商品をメインに撮影しています。各商品にブランド名ではなく、投稿の内容が分かるようにタグを付けます。

まとめ

企業視点では、自社の商品のことをなるべく細かく、詳しく紹介してほしいという気持ちは理解できます。しかし、各SNSの特徴を理解し、ユーザーの求めるトレンド投稿を行うことが重要です。

小紅書は、自分の生活にとって役立つ情報を探すために利用しているユーザーが多いため、まずはユーザーのためになるコンテンツを投稿することが大切すです。ぜひ中国SNSマーケティングでお悩みがございましたらお気軽にご相談ください。

YouTube動画でも解説

今回のコラムは、YouTubeでアニメーション動画でもご覧頂けます。5分程度ですので、通勤の行きかえりなどでもお楽しみ頂けます。併せてぜひご確認ください!


この記事を書いた人

ENJOY JAPAN 編集部

変化の早い中国のマーケティング情報を、「早く」「わかりやすく」をモットーに弊社メンバーや専門家などのチームで記事を執筆しています。

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